自動車取得税と環境性能割は実質的に同じようなもの

 クルマを所有すると、多額の税金を徴収される。この内の自動車税以外は「道路特定財源」として創設された。「道路建設費用は、その恩恵を受ける自動車ユーザーが負担すべき」という考え方に基づき、道路に使う財源、つまり目的税として徴収を開始した。

 ところが道路特定財源制度は、2009年に廃止されている。このときに課税する法的根拠も失われたが、徴税は今も続き、一般財源(普通の税金)として使われている。つまりクルマのユーザーは、不当に多額の税金を負担しているわけだ。

 しかも「消費税が10%になったら、二重課税になっていた自動車取得税(これも元・道路特定財源)を廃止する」としながら、実際はその後継になる環境性能割を導入した。環境性能割は自動車取得税にソックリだから、実質的には廃止されていない。税金の名称を変えただけだ。

 環境性能割は車両を取得するときに徴収され、税率は2020年度燃費基準の達成度合いに応じて変化する。取得価格の0〜3%なので、取得税とほぼ同じだ。ハイブリッドなど燃費基準の達成度合いの高い車種は、非課税(0%)になる。

 なお今の環境性能割には、軽減措置が適用されている。消費税率が10%になった2019年10月1日から2020年9月30日の登録(軽自動車は届け出)までは、もっとも税率の高い3%は2%、2%は1%、1%は非課税に下がる。従って環境性能割を節約したいなら、2020年9月30日までに登録したい。

 自動車重量税も、元・道路特定財源で、登録時と継続車検を受ける時に徴収される。この制度には以前からエコカー減税が適用され、今の税額が2021年4月30日の登録まで続く予定だ(延長や短縮の可能性もある)。

 例えば車両重量が1001kgから1500kgの自家用乗用車の場合、購入時に納める3年分は、エコカー減税の対象外なら3万6900円だ。この税額が2020年度燃費基準の達成度合いに応じて、最高では非課税まで減税される。ハイブリッドには非課税の車種が多い。

価格が高くても税金やランニングコストで実質お得になることも

 またクリーンディーゼル搭載車は、クリーンエネルギー自動車に含まれるため、燃費数値に関係なく購入時に納める環境性能割と自動車重量税が非課税になる。ハイブリッドの場合は、燃費基準の達成度合いが低ければ税金を徴収されることもあるが、クリーンディーゼルはすべて非課税だ。

 たとえばメルセデス・ベンツCクラスセダン ローレウスエディションの場合、1496ccガソリンターボを搭載するC200の価格は613万円、動力性能と燃費が両方とも向上する1949ccクリーンディーゼルターボのC220dは639万円だ。

 C220dの価格は26万円高いが、環境性能割と自動車重量税は非課税になる。C200は両方の税額を合計すると約15万円だから、税額の違いで実質差額は11万円に縮まる。排気量が違うため、自動車税はガソリンターボのC200が年額5500円安いものの、動力性能と燃費性能に対する実質価格では、ディーゼルのC220dが明らかに割安だ。このように高価格車ほど環境性能割も高額になるため、非課税になるディーゼルの割安度が際立つ。

 逆に価格の安いコンパクトカーは、税額も全般的に安く、ノーマルエンジンでも燃費が優れる。従ってハイブリッドやディーゼルよりも、ノーマルエンジンが買い得だ。ハイブリッドやディーゼルのメリットは、ボディが大きく、重くなるほど増えてくる。

 2019年10月1日以降の登録では、自動車税が安くなり、この引き下げ額は小排気量ほど多い。1000cc以下は4500円安くなって年額2万5000円だから、15%値下げされた。逆に2501cc以上は一律1000円の値下げにとどまり、2501cc以上3000cc以下は5万円で、値下げ率は2%だ。

 以上のように、価格の安いクルマでは小排気量のノーマルエンジン車が買い得になる。逆にエンジン排気量が2001cc以上の車種では、ハイブリッドやクリーンディーゼルも検討したい。