似たような名称だが厳密には用途が異なる

 新車を購入するときには、さまざまな販売諸費用が注文書に計上される。そのなかで、下取り車がある場合に計上されるものに、「下取り車諸手続代行費用」と「下取り車査定料」がある。下取り車諸手続代行費用とは、下取り車をディーラーが引き取ってきたあと、いったん下取り車をディーラー名義にしてから、自社の中古車センターで再販したり、オークションに流したりすることによる代行費用となる。

 メーカー系正規新車ディーラーなどではほとんどないものと聞いているが、一部では手放したユーザー名義のまま転売し、購入したひとに手放したひとが用意した印鑑証明など名義変更に必要な書類を渡し、名義変更を購入者に任せるという業者もまだいるようだ。こうなると、新たに購入したひとが名義変更を即座に行わないと、いつまでも旧所有者名義のまま乗り続けられてしまうことも起こりうるのである。

 また、所有名義人が本人ではない場合、たとえばローンを完済していなかったり、完済しているのに所有権解除をしていない、さらには住所変更を行っていなかったりすると、下取り車諸手続代行費用は変わってくる(高くなる)とのこと。

 いま、残価設定ローンの普及もあり、ローン支払い途中で新車へ乗り換えるひとが増えてきているのだ。以前は、下取り車と同じメーカー系ディーラーであっても、ユーザー自らが残債を処理しなければ下取りには応じなかったが、いまでは多くのディーラーで、他メーカー車で残債があっても下取りに応じているので、ローン支払い途中での新車への乗り換えが増えていることもあり、下取り車諸手続代行費用に差をつけているようである。

下取り車査定料は車両の状態によってはゼロになることも

 下取り車査定料については、現場のセールスマンが商談の際などに行う下取り査定についての料金ではなく、下取り車を引き取ったあとに、ディーラーの専門部署で再販のために行う再査定にかかる費用というのが、販売現場での一般的な説明。セールスマンの査定は、査定額決定に際して、“査定課”などの専門部署の判断を仰ぎながら決めるのだが、新車受注を前提とした暫定的なものという傾向が強く、再販するときには専門部署で改めて厳密な査定が行われる。

 そして、この厳密な査定額からセールスマンの査定額について一定割合以上差が開くと(セールスマンの査定のほうが高い)、セールスマンは大目玉を食らうとのことである。

 下取り査定料をとる根拠としてのディーラーの説明を裏付けるように、下取り査定を行った結果、下取り査定額が数万円以下(つまり再販価値がない)のときには、下取り査定料を取らないディーラーもある。

 交渉次第でカットすることも可能となるディーラーもあるが、諸費用カットなど局部にこだわらずに、支払総額(購入予算を決め、そのなかに収まるのなら何やってもいいよという値引き方法)ベースなどで攻めるほうが値引き条件はアップしやすくなっている。そのため諸費用カットは、注文書にサインをする直前に、「これなんとかならない?」などと、試しに攻めてみて様子をうかがうとよいだろう。