◆ 球春は突然に──

 「新型コロナウイルス」の問題により、シーズン開幕の見合わせ状態が続いているプロ野球界。依然として具体的な開幕日については公表されていないものの、トンネルの出口は着実に近づきつつある。

 感染拡大のペースも徐々に緩やかとなり、緊急事態宣言の解除も全国的に進んでいるなか、日本プロ野球の各球団は22日の12球団代表者会議を経て、改めて「6月中旬以降の開幕を目指す」という指針を確認。NPBの斉藤惇コミッショナーも、具体的な日程については「緊急事態宣言の解除が最低限の条件」としつつ、「解除されれば、できるだけ早い段階でスケジュール等々を皆さま方にお知らせできるのではないかと思っております」と、今後の進展に期待を寄せた。

 「6月中旬以降」という言葉を素直に信じるとすると、もうすでに開幕まで1カ月を切っている可能性もある。ふだんのカレンダーに置き換えれば、各球団が段々とキャンプ地から離れ、日本のいたるところでオープン戦が本格化してくる3月の頭くらいになるだろうか…。

 いよいよ近づきつつある開幕の日に向けて、ここでは各球団の「開幕投手」に再び注目。監督が発表していた、もしくは開幕投手に内定したことが何らかの形で報じられた投手の“ここまで”を振り返ってみたい。

 今回は、昨季5年ぶりにセ・リーグを制した巨人を取り上げる。

◆ 昨季はまさかの大不振

 昨年は帰ってきた原辰徳監督の下、5年ぶり37度目のリーグ制覇を成し遂げた巨人。今季の開幕投手として名前が挙がっているのが、エースの菅野智之。実現すれば3年連続で6度目の大役となる。

 言わずと知れた巨人の大黒柱であるが、昨季は栄光を取り戻したチームの中でもがき苦しむ日々。終わってみればチーム2位の11勝を挙げたものの、防御率3.89というのはプロ入り後ワーストの数字。腰痛や体調不良に悩まされ、プロ7年目にして初めて規定投球回に到達できずにシーズンを終えるなど、悔しさを味わった。

 それでも、逆襲に燃える今季は早くから身体を仕上げて猛烈アピール。オープン戦では腕を風車のように回してから投球動作に移る新フォームを披露し、4試合・17イニングを投げて防御率1.59という好投。復活の気配を漂わせている。

 そんな中で開幕が延期となったのは誤算だったが、満足な練習が行えない自粛期間中も好調ぶりは伝えられており、投球練習のたびにブルペン捕手からは「開幕いつでもOK」の声が。20日には小林誠司を座らせて投球練習を行い、良い時も悪い時もすべてを知り尽くしている相棒からも「いつ開幕してもいいような球の質、角度で驚きました」と太鼓判。巨人ファンの方々は、開幕が待ち遠しくて仕方がないことだろう。

 ちなみに、開幕戦はここ2年連続で黒星。初登板から3連勝と怖いもの知らずで来ていたが、直近は良い思い出がないだけに、ここで嫌な流れを断ち切っておきたいところ。

 開幕戦で復活への第一歩を踏み出し、チームをリーグ連覇へと引っ張っていくことができるだろうか。

▼ 巨人・ここ10シーズンの開幕投手

2010年(○)内海哲也[27試 11勝 8敗 防4.38]

2011年(○)東野 峻[31試 8勝11敗 防3.47]

2012年(●)内海哲也[28試 15勝 6敗 防1.98]

2013年(−)宮國椋丞[17試 6勝 7敗 防4.93]

2014年(○)菅野智之[23試 12勝 5敗 防2.33]

2015年(○)菅野智之[25試 10勝11敗 防1.91]

2016年(○)菅野智之[26試 9勝 6敗 防2.01]

2017年(○)マイコラス[27試 14勝 8敗 防2.25]

2018年(●)菅野智之[28試 15勝 8敗 防2.14]

2019年(●)菅野智之[22試 11勝 6敗 防3.89]

2020年(予想)菅野智之【3年連続6度目】

◆ 菅野智之

ポジション:投手

投打:右投右打

身長/体重:186センチ/92キロ

生年月日:1989年10月11日

経歴:東海大相模高−東海大−巨人

[昨季成績] 22試(136.1回) 11勝6敗 奪三120 防3.89

[通算成績] 176試(1222.2回) 87勝47敗 奪三1083 防2.36