5月11日、国際スケート連盟はフィギュアスケートの2020-2021年シーズンにおける規定を発表しました。「3回転ルッツの基礎点を下げ、3回転フリップの基礎点を同じにする」「4回転ではループ・フリップ・ルッツの基礎点をすべて同じにする」といった大きな変化が加わり、来季の戦いも一層白熱したものとなりそうです。

そんななか勝負をわけるポイントとなりそうなのが「回転不足」に関する規定の変更です。これまでも回転不足による減点は結果に大きな影響を与えてきましたが、来季はわずかな回転の不足がより大きな影響を与えるシーズンとなりそうなのです。

2019-2020シーズンにおいては回転不足については4段階の区分けがありました。まったく問題のないジャンプ、4分の1回転まではいかない程度の回転不足、4分の1回転以上2分の1回転未満の回転不足(採点表で「<」の記号がつく)、2分の1回転以上の回転不足(採点表で「<<」の記号がつく)という4段階でした。それが来季は新たに「q」の記号で示す「ちょうど4分の1回転足りない」という段階が追加され、5段階に区分けされることになりました。

【2019-2020シーズンの回転不足の区分け】
成功(記号ナシ)
基礎点の減点、出来栄えでのマイナスともにナシ

4分の1回転未満の不足(記号ナシ)
基礎点での減点ナシ、出来栄えで「-1から-2」引き下げ

4分の1回転以上、2分の1回転未満の不足(記号「<」がつく)
基礎点が80%に減じ、出来栄えで「-1から-2」引き下げ

2分の1回転以上の不足(記号「<<」がつく)
基礎点が1回転少ないジャンプのものに減じ、出来栄えで「-3から-4」引き下げ

【2020-2021シーズンの回転不足の区分け】
成功(記号ナシ)
基礎点の減点、出来栄えでのマイナスともにナシ

4分の1回転未満の不足(記号ナシ)
基礎点での減点ナシ、出来栄えで「-1」引き下げ

ちょうど4分の1回転不足(記号「q」がつく)
基礎点での減点ナシ、出来栄えで「-2」引き下げ

4分の1回転より大きく、2分の1回転未満の不足(記号「<」がつく)
基礎点が80%に減じ、出来栄えで「-2から-3」引き下げ

2分の1回転以上の不足(記号「<<」がつく)
基礎点が1回転少ないジャンプのものに減じ、出来栄えで「-3から-4」引き下げ

つまり来季の採点では「4分の1回転の不足」という境目の前後で3段階にわかれるわけですが、この際どい違いが結果にどのような影響を及ぼすのでしょうか。基礎点11.00点で変更がなかった4回転フリップを例に見ていきます。なお、計算の簡略化のために、回転不足以外の部分では標準的な出来(出来栄えプラスマイナスゼロ)だったものとします。

2019-2020シーズンの場合、「4分の1回転不足」の境目で「4分の1回転以上不足」とされた場合、記号「<」がついて「基礎点が11.00点の80%の8.80点」「出来栄えで-1から-2され、-1の場合は10%減の7.92点、-2の場合は7.04点」となります。「4分の1回転未満」ということで記号がつかなかった場合は、基礎点は11.00点のままで出来栄えは「ジャッジが問題ナシと思った場合は減点ナシ」「ジャッジが回転不足があると思った場合は、出来栄えで-1から-2され、-1の場合は10%減の9.90点、-2の場合は8.80点」となります。

2020-2021シーズンの場合、「4分の1回転不足」の境目で「4分の1回転より不足」とされた場合、記号「<」がついて「基礎点が11.00点の80%の8.80点」「出来栄えで-2から-3され、-2の場合は20%減の7.04点、-3の場合は6.16点」となります。「ちょうど4分の1回転不足」とされた場合、記号「q」がついて基礎点は11.00点のままで「出来栄えで-2され、8.80点」となります。「4分の1回転未満」ということで記号がつかなかった場合は、基礎点は11.00点のままで出来栄えは「ジャッジが問題ナシと思った場合は減点ナシ」「ジャッジが回転不足があると思った場合は、出来栄えで-1され9.90点」となります。