山崎弘也と柴田英嗣によるお笑いコンビ・アンタッチャブル。コンビが10年ぶりに再始動したのは、昨年11月29日放送の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)でのこと。伝説の漫才“ファーストフードの店員”をやりきったふたりの笑顔は、半年も前の出来事であるにもかかわらず、今でも多くの人の脳裏に焼き付いている。

2004年にM-1グランプリで優勝し、一躍トップ芸人の座に躍り出たふたりだが、2010年に柴田が芸能活動休業を発表。翌年には活動を再開したものの、山崎との共演は一切なかった。長いあいだ、沈黙を守ってきたコンビの見事なまでの復活劇――あの日、マイクの前に立ったふたりは、何を思っていたのだろうか。

3月上旬。取材部屋に現れたふたりは、“空白の10年間”なんてなかったかのように息の合った掛け合いを見せてくれた。のびのびとボケる山崎、鋭くツッコむ柴田の姿に、「ブランク」という文字はない。

撮影/西村康 取材・文/篠崎美緒

あの日の収録のことを、相方に黙っているのが大変だった

アンタッチャブル復活、改めておめでとうございます! おふたりが並んで立つ姿を、待ち望んでいたファンも多いと思います。
山崎 よかった、ホント。誰からも待たれていない可能性のほうが、大きかったですから(笑)。
柴田 ホントだよねぇ。
山崎 ただふたりでまた始めるというだけの話で、「待望の復活!」みたいな感じではないと思っていたんですよ。ここまで反応してもらえるとは、予想していませんでした。
柴田 復活するタイミングだって、「若手のライブにこっそり出ようか」と考えていたくらいだったので(笑)。
『全力!脱力タイムズ』での復活でしたが、「番組でコンビ復活計画」発案者は有田(哲平)さんですか?
山崎 いや、僕が有田さんに相談した感じです。で、有田さんに連れて行かれたら相方がいた、みたいな。
柴田 お前も知らなかったんかい!(笑)
山崎 あははは。
柴田 僕は本当に知りませんでした。僕だけじゃなく、スタジオにいた人のほとんどが知らなかったんですよ。
視聴者も知らないという、珍しいパターンでしたね。普通なら「今夜、アンタッチャブル復活!」と宣伝しそうなものなのに。だから生で見ていた人は、本当にびっくりしたと思います。
山崎 何しろ、小手さんも知らないくらいだから。(※)
【編集部注】
※俳優の小手伸也は、山崎に扮して、最初に柴田と漫才をしていた
柴田 まず、小手さんがびっくりしてたもん。あとから楽屋で「言ってくださいよ!」と言われたけど、「いや、俺も知らなかったんです!」と(笑)。
山崎 そういえばあのあと、小手さんにお礼を言うのを忘れちゃったなぁ。また会えるといいなぁ。
柴田 ADさんもカメラマンさんも、誰も知らなかった。だからマジで「コイツ、ダマで来やがった」と思ったもの。みんなパニック状態だったし、なんなら放送すらされないんじゃないかと考えたくらい(笑)。
しかし漫才を始めてみると、さすがの息の合い方でしたね。
柴田 そうでしたか? あんまり覚えていないんですよ、あのときのこと。山崎が漫才を始めたから合わせただけで、何しろ状況を理解しないまま、どんどん進んでいったから。
山崎さんは、どうだったんですか?
山崎 僕はもう……。
柴田 「シメシメ」だろ?
山崎 「シメシメ」と思って出ていったんだけど……、意外と緊張であがっちゃう、みたいな。「あれっ、ネタはどうだったっけ? そうか、打ち合わせしていないから、俺が始めないと漫才が始まらないんだ」と。しかも始めたはいいけど、終わりどころがわからなくなっちゃって、最後までやるしかない状況に(笑)。
漫才を終えたあと、いろんな感情が込み上げてきたと思います。
柴田 終わった瞬間に「ああ、漫才やったんだ」といううれしさは、すごくありました。でもいちばん実感したのは、放送されてからです。
山崎 俺たちも10年間、まったく会わなかったわけじゃないので、“ひさびさの再会に感動”みたいなこともなかったしね。逆にわりとよく会っていたから、俺は収録前、相方に黙っていなきゃいけないのが大変で……。
柴田 あの収録の日は、本当は一緒に飲みに行く予定だったんだよね。
山崎 そうそう。こっちは有田さんに「絶対バレんなよ!」と言われてるから、ドキドキもんでしたよ。収録前に相方と飲みに行ったときも、「バレないようにいつもどおりでいよう。あれ、いつもの自分ってどうしてたっけ?」と(笑)。ネタの話をするのも変だから、なるべく他愛のない話をして。
柴田 その山崎の緊張に、こっちはまったく気づかなかったという(笑)。

こんなに大騒ぎになるなんて想像もしていなかった

放送後はファンならずとも世間がかなり沸いていましたが、その声はおふたりに届いたのでしょうか?
柴田 めちゃくちゃ届きましたよ。
山崎 びっくり、だよね。
正直……、見ながら思わず泣きました。ネタで笑って、ふたりの姿に泣いて。
ふたり えーっ!?
実際、「泣いた」という声、多かったですよ。
柴田 世間がそんなふうに受け止めるなんて、考えるわけがないじゃないですか。
山崎 「なんとなくアンタッチャブル始めます」みたいな感じになると思っていたんですけど、実際に放送されたら「スゴい! ヤバい!」みたいな空気があって。予想を遥かに超えて、『ロミオとジュリエット』なみの悲恋が叶った、みたいな大騒ぎになっちゃった(笑)。
同業者からもたくさん連絡があったかと思います。
山崎 芸能界の方からも、いろいろと反応をいただきましたね。松本潤くんとか……、いちばんびっくりしたのが、天海祐希さんに話しかけられたこと! 天海祐希さんから話しかけられることって、今後二度とないと思うんだよ。
柴田 うん、ないね。
山崎 天海祐希さんに話しかけることはあっても、話しかけられることはない。
柴田 うん、ない。
山崎 「漫才をやっていらっしゃいましたよね。面白かったです」って、あの天海祐希さんから!「俺、天海祐希さんに話しかけられてるぞ!」と思って。
柴田 何回「天海祐希さん」って言うんだよ!
山崎 そこでなんとなく、「スゴいことになってるんだな」と感じました。
柴田さんは、どこで実感しましたか?
柴田 どこだろう……。
山崎 弟から言われたときじゃないの?
柴田 弟の反応なんて、たいしたことじゃないよ! 一方は天海祐希さん、もう一方は俺の弟って、弱すぎるだろ!!
山崎 静岡でラーメン屋を営みながら頑張ってるじゃないか! 縄跳び世界大会でチャンピオンにもなってるし。そんな弟に、なんか言われただろ?
柴田 まぁ、言われたけどさ。
なんて言われたんですか?
柴田 「なんで?」です。そんなもんですよ、兄弟なんて! SNSには、いろんな方からコメントをいただきましたけどね。メッセージだけじゃなく、「いいね!」もいっぱい。ありがたいことです。

ツッコミが痛すぎて、“目をつぶってしまう”病に

その後、『THE MANZAI 2019』で新作漫才を披露しています。以前、「漫才のベースは山崎さんが作るけど、柴田さんが“こんな言葉でツッコみたい”と言い出すので、それに合わせたボケを作ることがある」と言っていました。ネタの作り方は、当時と同じでしたか?
山崎 その前に……、あれを新作と言っていいのでしょうか?(笑)
柴田 俺たちも事前の番組宣伝を見て「えっ、新作をやるの!?」と知ったくらいなので(笑)。じゃあ作らなきゃなと、枕だけ新しいものを作って、後半は既存のネタをやったんです。数日で『THE MANZAI 2019』でかけられるような新ネタなんて、できませんって!
その枕は、どんな感じで作ったんですか?
柴田 「どんな感じ」も何もないですよ! 急にコイツがベーコンの話を始めたから、ノートに“ベーコン”と書いて、そこから“カリカリしてるね”とつなげて(笑)。それで終わりですよ。後日、周りの人に「ちゃんとやれよ」とか言われたんですけど、もともとちゃんとやってないから! 僕らは昔からこんな感じです!
でもやりとりはブランクを感じさせないものでした。自然にできたのでしょうか?
山崎 10年もやってないと、何が不自然なのかがわからないんですよ(笑)。
柴田 緊張はしなかったけどね。
お互いに対してひさびさにボケたりツッコんだりしてみて、新たに気づいた特徴や魅力はありましたか?
柴田 「パワーが増してるな」と思いました。もしかしたら俺がパワーダウンしているのかもしれないけど、ひと言ふた言レベルのツッコミじゃ止まらない。その意味で、パワーアップしてるのかもしれないですね、彼は。

あとツッコんだときの、みちっとした感触が懐かしかったです。他の人とも漫才をやらせてもらう機会が何度かあったんですが、太っている人がそんなにいなかったんですよ。だから俺の勢いでツッコむと、耐えきれずにグラつく人が多くて(笑)。耐えられる人とやるのが、いちばんいいですよね。
山崎 俺が耐えられてるわけじゃないけどね。シンプルに、「痛い!」と思ったもん(笑)。
痛いですか(笑)。
山崎 普通、人ってそんなに叩かないんですよ。とくに最近は叩かないでしょ、コンプライアンス的に。それこそ有吉(弘行)さんや藤本(敏史)さんとか、あと若手のツッコミからよくツッコまれますが、叩かれることってないから。今叩くツッコミって、カミナリとオードリーくらいでしょ。オードリーは今や、ネタ以外で叩くことってないし。

10年叩かれてないと、頭を叩かれたときにクラッと来るんです。ネタ作りでは叩いたりしないから、本番でいきなり「痛っ!」ですよ。
柴田 力加減がわからなくなっちゃってるのかな。
山崎 10年前から痛かったよ! あまりにツッコミが痛すぎて、“ボケた瞬間に目をつぶっちゃう病”にかかりましたもん(笑)。あのツッコミは絶対、今の時代に合ってないって! みんなもね、柴田さんの前でボケてみたらわかりますよ。容赦ないんだから。
柴田 山崎は最近も俺の隣にいると、ボケたあとに目をつぶってること、あるよね。
山崎 それでいちばん恥ずかしいのが、叩かれないときね(笑)。
コンビでの活動がどんどん増えていて、見ている側もうれしいです。これから、アンタッチャブルとしてやってみたいことは?
柴田 このあいだ、初めてゴールデンで冠番組をやらせてもらったんですよ(3月17日にフジテレビ系で放送された『アンタッチャブルのおバカワいい映像バトル どうぶつ軍VSにんげん軍』)。ああいう「みんなが期待してくれているんだな」という仕事を、少しでもできればいいなと思います。
山崎 僕はやっぱり、(カンニング)竹山さんと絡みたいですね。もともとアンタッチャブルは、竹山さんと仲良くさせてもらっていたんで。やっぱり切っても切れないというか、戦友みたいなところがありますからね、竹山さんに関しては。
柴田 復活前のことだけど、3人で、楽屋で写真を撮ったよね。「あれっ、アンタッチャブルが揃ってるじゃん! 写真撮ろうよ」って。
今度は写真だけじゃなく、3人で共演したいですよね。
山崎 そうですね、お互いに位置情報をつかんでいる関係として。
柴田 俺はつかみたくないよ!
山崎 あなたも竹山さんと位置情報を交換しなさいよ。
柴田 嫌だよ! 山崎が毎回、竹山さんの位置を教えてくれるけど、別にいらないから、その情報!
山崎 最近アプリの仕様が変わっちゃって、竹山さんが僕の位置情報を発見できなくなっちゃったんだよね。「お前は俺の位置情報、わかるの?」「わかりますよ」「なんでだよ! なんでお前はわかるのに、俺はお前の情報がわかんないんだよ!」って……。
柴田 なんでいつも怒ってるんだよ、竹山さん(笑)。
山崎 そのへんに関しては、うといから。そのまま教えず、僕だけが竹山さんの位置情報を握っています(笑)。

LINEスタンプを買って、“経済的援助”してください!

きょうはアンタッチャブルのLINEスタンプを撮影・収録していただきました。撮影はいかがでしたか?
山崎 いやもう、非常に順調で。あっという間に終わっちゃいました。やっぱりね、LINEチームのみなさんの段取りのよさがあったからです。僕らなんて何もできない芸人ですから、ここまでできたのはLINEのみなさんのおかげですよ。気持ちよく、ノらせてくれるし。
柴田 うっすら流れるBGMも気持ちよかったね!
山崎 正直、きょうで芸人を辞めようと思っていたんですけど、LINEのみなさんのおかげで続けようと思い直しました。
それはよかったです(笑)。今回撮影したスタンプの中でお気に入りのものや、「こんなふうに使ってね!」的なオススメはありますか?
柴田 僕のツッコミスタンプがたくさんあるので、みなさんのツッコミとしていかようにも使ってほしいなと。ツッコミワード的には、どこでも対応できるものになっています。じつは僕、スタンプになるのが初めてなんです。だからすべてが新鮮でした。
山崎 彼の撮影風景、初々しかったですよ。昔の自分を見ているようでしたね。一方の僕はもう、慣れていますから。
山崎さんは、大先輩ですもんね。
山崎 胸を貸すつもりでね。
柴田 そのわりには、声を録っているときに「山崎さん、ガラガラですね」と言われていたけど。
山崎 多少ガラガラぐらいがちょうどいいのよ。
では、山崎さんのオススメスタンプは?
山崎 やっぱりコンビでやらせてもらってますから……、「来るぅーーッ!」ですかね。
柴田 そのスタンプ、コンビじゃないよ!
山崎 あれ?
柴田 俺、一度も「来るぅーーッ!」をやったことないよ!!
山崎 じゃあ、「あざーっす!」かな。
柴田 それもコンビで録ってないよ!
おふたりは普段、LINEでやりとりすることはありますか?
山崎 前からずっと、やっていましたよ。多いのは、飲みの予定の調整ですかね。「○日、空いてる?」とか。
柴田 店の指定は、だいたい山崎さんがするんです。それでお店のサイトのURLが送られてくるんですが、毎回同じ店なんですよ(笑)。「その店の場所はもうわかってるから!」と。彼なりの優しさなのかもしれませんが。
山崎 優しさではなく、LINEは自分の備忘録として送ってます(笑)。
ふたりでやりとりしているときは、どんなスタンプを使っていますか?
柴田 山崎は赤くて太いビックリマークの絵文字ばっかり使ってますよ。
山崎 たまに細いビックリマークも使うよ!(笑)強めに「お疲れさまです!」と言いたいときとか、ビックリマークを入れるでしょ。
じゃあ、スタンプは使わないんですか?
山崎 使いますよ、自分のスタンプを。だって自分ですから、わかりやすいでしょ。感謝の気持ちは、そのまま「あざーっす!」ですし。ただ相方やマネージャーに使うのは、ちょっと恥ずかしいんですよね。
柴田 そうなんだ(笑)。
山崎 ただ目上の人に「あざーっす!」は失礼だから、「ありがとうございます」と打って、そのあとに「あざーっす!」スタンプを送っています。
ちなみに柴田さんは、ザキヤマスタンプは持っているんですか?
柴田 持ってますよ。
山崎 あ、そうなんだ。
柴田 彼の生活を支えてます。
山崎 あざーっす!(笑)でも、俺には送ってくれないよね?
柴田 おかしいでしょ、本人に本人のスタンプ送るの。
では最後に、スタンプのアピールをぜひお願いします!
山崎 まず言いたいのは、「スタンプをダウンロードしてほしい」ということですよね。経済的援助を!
柴田 支えね。
山崎 みなさんのお気持ちもうれしいですが、いちばんうれしいのは経済的援助です(笑)。これが好評なら第2弾とか、それこそ竹山さんも入れてトリオで、みたいなこともあるかもしれないし。
柴田 竹山さんとトリオでスタンプは、あるかもしれないね(笑)。
山崎 そのためにもぜひこのスタンプをダウンロードして、応援していただけたらなと。これからも頑張ります!
柴田 以下同文です!(笑)
アンタッチャブル
山崎弘也と柴田英嗣のふたりからなるお笑いコンビ。1994年、コンビ結成。『M-1グランプリ2004』チャンピオン。2010年にコンビ活動を停止するが、2019年11月に復活。山崎のレギュラー番組に『スクール革命!』(日本テレビ系)、『クイズプレゼンバラエティーQさま』(テレビ朝日系)ほか。柴田のレギュラー番組に『志村友達』(フジテレビ系)、『東京オーディション(仮)』(TOKYO MX)などがある。

キャンペーン情報

LINEにてオリジナルスタンプを発売中
https://lin.ee/2k0wVtndw/stdl

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、アンタッチャブルのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2020年5月28日(木)12:00〜6月3日(水)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/6月4日(木)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月4日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき6月7日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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