新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、最前線で働く医療従事者は身体的にも精神的にも過酷な日々を送っているが、彼らの心を癒す存在として病院で働くある犬の存在が注目されている。きっかけはSNSに投稿された、女性医師とラブラドール・レトリバーの写真だった。『TODAY』『People.com』などが伝えている。

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米コロラド州デンバー在住のスーザン・ライアンさん(Susan Ryan)は、今月10日で1歳になるラブラドール・レトリバーの“ウィン(Wynn)”の面倒を見ている。ウィンは非営利団体「Canine Companions for Independence」に登録された犬で、障がい者の自立を助ける“サービスドッグ”として本格的な訓練が開始されるまで、スーザンさんがボランティアとして基本的な躾をしているそうだ。

スーザンさんはデンバー市内のローズ・メディカル・センターに勤務する救急医で、ウィンが生後8週の頃からできるだけ一緒に出勤している。そしてウィンはスーザンさんが仕事をしている間、病院のオフィスで過ごし、人を癒すために働いているのだ。

スーザンさんは、ウィンの仕事ぶりについて次のように明かしている。

「ウィンがいるオフィスはいつもアロマの香りが漂い、スタッフの癒しの場所になっています。疲れた体を休めるため、スタッフは部屋を暗くし、暖かいブランケットにくるまって心を落ち着かせるのです。そしてそばにはウィンが寄り添ってくれるのです。数分間だけウィンに会いにやってくるスタッフもいますが、それだけでも張り詰めていた心がほぐされるのです。ウィンは人々がストレスに晒されていることや、自分が必要とされているのをきちんと分かっているのだと思います。」

今回SNSで拡散した写真は、疲れ切ったスーザンさんとそばに寄り添うウィンを捉えたもので、スーザンさんは「ウィンはちょうど他のスタッフと一緒に散歩を終えたところでした。長時間働き続けた私は、放心状態で床に座り込み『少しだけ、ウィンと一緒にいてもいいかしら』とスタッフにお願いしたのです」と当時を振り返りつつ、こう続けた。

「私はウィンと一緒にいることで、心と心が繋がるのを感じます。ウィンを撫でたり暖かい身体に触れることで、仕事の重圧から解放され、自分が人間であることを再認識するのです。ウィンが『大きく深呼吸してごらん』と言ってくれている気がして、救われるのです。こういう状態ですから、ウィンの病院での役割は日に日に大きくなっていると思います。」

なおウィンは毎朝、病院に到着すると身体を拭いて洗濯した清潔なベストと首輪、リードを付けるそうだ。またスタッフがウィンと触れ合う前後には、手洗いを徹底しているとのことだ。

スーザンさんは最後にこのように語っている。

「多くの人があの写真を見て、何かを感じてくれたことを嬉しく思っています。COVID-19の感染拡大は深刻な問題です。これを機会にみんなが自主隔離をしっかり行ってくれることを願っています。」

画像は『Susan Ryan 2020年3月23日付Instagram、2019年12月14日付Instagram「Wynn 2.0 working hard for the money.」、2019年10月30日付Instagram「Wynn 2.0 getting a love swarm by the labor deck RNs.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)