ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、5月に予定していたプレイステーション4ゲーム『マーベル アイアンマンVR』『The Last of Us Part II』の発売を延期しました。

理由は「(新型コロナウイルス感染症の) 世界的危機により、物流上、プレーヤーが期待するような発売時の体験を提供できないため」。新たな発売日は未定。

PS VR専用の『マーベル アイアンマンVR』は5月15日、『The Last of Us Part II』は5月29日発売の予定でした。

どちらもPS4でしか遊べない期待の大作ですが、どちらも開発が遅れすでに発売を延期しており、「今度こそ本当に出るはず」期日が今年の5月でした。

PS VR独占作『マーベル アイアンマンVR』再延期、5月15日発売へ(2020年1月)

COVID-19の世界的流行についていえば、感染拡大防止のため在宅を促す意味から、WHOと各ゲーム会社が協力して「離れて一緒に遊ぼう」キャンペーンを展開するなど、むしろ籠もってゲームが推奨され需要が伸びていることはご存知のとおり。むしろこの時期だからこそ一層期待されていたともいえます。

しかし、延期発表では「ロジスティクス上」、プレーヤー(の期待)にふさわしいロンチ体験を提供できないと表現していることから、ゲームの中身は問題なく完成したとしても、たとえばパッケージ版の制作と流通、PS4やPS4 Pro本体・PS VRの物流、さらには宣伝や、VRで特に重要な店舗での体験といった面で困難という判断のようです。

ビデオゲーム産業はダウンロード版が販売できるため、実店舗や物理商品のビジネスよりも現在の状況に影響を受けづらい印象がありますが、開発者も人である以上ウイルスにも社会的状況にも大きな影響を受け、また移動や渡航の制限で制作にも大きな悪影響が出ています。

さらにいえば、外出が制限された地域ではインターネットのトラフィックが大幅に増えた結果、社会インフラとしての機能に支障をきたさないよう、ゲームのダウンロードサービスや動画ストリーミングサービスも速度や品質を落とすことを求められるなど、影響は免れません。

新型コロナウイルス感染症の流行が今後どのように推移するかは、各国の専門家がさまざまな試算・予測をしていますが、外出・移動の制限や経済への影響が年単位で続く場合、観客が密集するライブエンタテインメント産業だけでなく、インターネット上のエンタテインメント産業もまた適応を迫られることになります。PS5 / Xbox Series X の発売時期が気になるところです。


The Last of Us のノーティードッグによれば、ゲーム自体はすでにほぼ完成しており、現在は最後のバグ取り中。ただしゲームを完成させたとしても、開発元ではどうにもならないロジスティクス(物流)の問題から、満足のゆくかたちでの発売ができないため、苦渋の決断をしたとのこと。

「誰もが同じ時期にゲームを遊べるように」との表現から、ダウンロード版だけのロンチを避けたいことが伝わります。

ラスアスのような大作はデータ容量が非常に大きく、かなりネットワーク帯域に恵まれていないとダウンロードに数十時間や数日が必要になったり、従量制や容量上限があれば物理的に不可能になったり、他のネットワーク利用が妨げられることもあります。平時ですらその状態なうえに、現在はパンデミックの影響で大きな帯域を使うことができない、あるいは望ましくないとされている状況でもあります。