Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第28回目のお悩みはこちら。

■ 【お悩み】

5歳の娘は、話が達者。その延長なのかペラペラとよく嘘もつきます。「私はプリンセスなの」というような可愛い嘘なら笑って聞けるのですが、自分に都合の悪いことをごまかすために嘘をつくことも多々。例えば、娘の幼稚園では、お弁当を食べ終えないと外遊びに行けないため、食べるのが遅い娘はいつもほとんど遊べないのですが、「今日は外遊びした?」と聞くと、「うん、したしたー。砂場でケーキ屋さんごっこをしてねー」とペラペラと話し出しました。嘘っぽいな、怪しいなと思って問い詰めると、やはり嘘。思わず「嘘ばっかりついてると、エンマ様に舌抜かれるよ!」と怒ってしまいました。そんなに大きな嘘ではないのですが、嘘をついたら毎回ちゃんと注意したほうがいいのでしょうか? それとも「そうなんだー」と聞き流してあげたほうがいいのでしょうか? 結構な頻度で嘘をつくため、どう対処したものかと悩んでいます。(Hさん・39歳)

■ 【小川先生の回答】

■“〇〇しちゃダメ”より“〇〇してくれると嬉しい”が伝わりやすい

なぜ嘘をついたのかというと、おそらく、食べるのが遅かったのがばれたくなかったからでしょう。でもその根本には、お母さんに怒られたくないという気持ちだけでなく、「ちゃんと食べてるよ」とお母さんを安心させてあげたい気持ちも混じっているような気がします。ですから、「嘘はダメだよ」と怒るのではなく、「そう、食べたの⁉ 嘘でしょ?(笑)」みたいな感じで、まずは笑ってあげてください。「もう少しでだまされるところだった」という感じで、笑い飛ばしてあげる。「エンマ様に舌抜かれるよ」というのも、真顔でそれを言われると逆に面白かったりもするので、遊びっぽく言うのであればアリかもしれませんね。そのうえで、「でもごはんのことは気になるから、本当のことを教えてね」と、今後にとって欲しい行動を伝えてあげるのです。子育てにおいて、“それはダメだよ”とか“間違ってるよ”というアプローチは、あまりおすすめできません。子どもはどうすればいいのかわからず、戸惑ってしまうだけだからです。それよりも、「こうしてくれたほうが嬉しいよ」と具体的に言われたほうが、子どもも守りやすくなります。

■嘘をつける能力を想像力やユーモアに活かす

嘘をつけるというのは、成長の証です。実際と違うことを想像して、それを言葉にできるわけだから、頭の使い方としては、実は大変高度。そう考えると、やってもいない砂場遊びの話ができるというお嬢さんは、なかなか優秀です。せっかく頭がいいのだから、その頭の良さを別の方向に使えるように導いてあげましょう。例えば、“大きくなったら〇〇したい”など夢を語るのは、想像力でいくらでも話してもらっていい。嘘も、楽しい嘘をたまについて笑わせてくれるぶんには、それはユーモアのひとつとして捉えていいと思います。ただ、人が嫌な思いをする嘘というのもあるので、そこはちゃんと使い分けられるように、その都度教えてあげましょう。“嘘はダメ!”ではなく、嘘をつける能力である想像力やユーモアを鍛えながら、ついていい嘘、悪い嘘というのを教えていけばいいと思います。

■ 回答者Profile

小川大介

教育専門家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』(https://www.e-juken.jp)主任相談員。

京都大学法学部卒業後、中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1を創設。教科指導スキルに、子育てコーチング、学習タイプ別の指導術を組み合わせ、短期間の成績向上ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。(レタスクラブニュース・酒詰明子)