イヤホンは耳をふさぐため、周囲の音が聞き取りづらくなる。
車の運転中や歩きながらイヤホンで音楽を聴くことが危険といわれる理由でもある。

boco「PEACE」は、こうしたイヤホンでの聞き取りづらさを解決する世界初の骨伝導完全ワイヤレスイヤホンを発表した。


■骨を通じて音の振動を聴覚に届ける
earsopen「PEACE」の新製品には、
・音楽モデル「TW-1」
・聴覚補助モデル「TWHA-1」
この2種類の製品がある。
いずれの製品も骨伝導 完全ワイヤレスイヤホンで、耳をふさがずに音楽を聴くことができる。

人は耳の鼓膜で空気の振動を受けて、音を認識している。
それに対して骨伝導では、骨を通じて音の振動を聴覚神経に届けることで音を認識する。

骨伝導によるイヤホンには2つのメリットがある。
・鼓膜の負担が減る
・耳をふさがないため、まわりの音が聞こえる


音楽モデル「TW-1」。専用クレードルで充電することができる。


音楽モデル「TW-1」は、デザインが美しいコンパクトなイヤホンだ。
イヤホンを耳に挟み、スマートフォンなどとBluetooth接続して使用する。
イヤホンのボディには、エラストマーという特殊素材を使用し、すぐれた装着感とともに高耐久性を実現した。

人によって骨格は異なるため、骨伝導イヤホンでは音がよく聞こえるポイントも変わる。
自分のスイートポイントをいかに見つけるかが利用する上での重要なポイントだという。
TW-1の重さは片耳約9.5gと軽量なので、実際に装着してみると、装着しているのを忘れるくらいだ。

音質は、独自特許技術による高性能振動デバイスと、イコライジング技術によって、低音から高音の領域までリアルで臨場あふれるサウンドを実現した。
連続視聴は、約5時間とのこと。
イヤホンの充電は、携帯ケースも兼ねる専用クレードルに入れるだけでよい。
充電時間は、本体 約1.5時間、専用クレードル 約2時間。

スマートフォンに電話がかかってきた際は、ボタンひとつで受話し、ハンズフリーで通話することができる。エコーキャンセル機能と、マイク部の振動制御により、通話でのエコー低減も可能だという。


耳に挟み込むかたちで装着する。


「TWHA-1」は、難聴などの人に向けに開発された聴覚補助モデルだ。
左右それぞれ独立したノイズキャンセルマイクがまわりの音を集音して、骨伝導を利用して音を聞くことができる。
ボリューム調整は、左右それぞれ別々にできるので、片方ごとに耳の聴力に合わせて音量を調整することができる。高速なDSP(Digital Signal Processor)を内蔵することで、Bluetooth接続時の左右の音切れを改善している。


■差別がなくなる製品の開発を進めたい
bocoは、骨伝導のイヤホンを提供している会社で、有線型の骨伝導のフック型イヤホンearsopenを提供していた。この製品を無線化したのが今回の新商品「TW-1」「TWHA-1」だ。

「GREEN FUNDING」というTSUTAYA系クラウドファンディングサイトで、1億6,478万円の資金を調達した。ちなみにサイト歴代ナンバー1の支援金額とのこと。

現在は、出資者に商品を順次発送している段階とのこと。
一般向けの製品は、2020年4月より発売する予定。


骨伝導イヤホンの仕組みをイラスト化したポップ。


脳には依然、解明できてない能力が数多くあり、そのひとつが聴覚である。
人間は母親の胎内にいるときは、胎動や心音を鼓膜ではなく骨で聞いているという。生まれると鼓膜で音を聞くようになる。
この結果、骨伝導で聞く能力は退化してしまうという。

このため骨伝導イヤホンは、どうしても鼓膜で聞く一般のイヤホンに比べ、音が聞こえにくいという印象をもたれることが多いそうだ。
そこで初めて骨伝導イヤホンで音を聞いたとき「すごい」と思われる音づくりに心がけた。
earsopenでは、
・音の聴こえ方が鮮明になっていくのを感じる
・骨伝導で聴く音がより大きく感じられるようになった
このような好印象を与えることに成功した。

新製品は、聴覚補助モデル「TWHA-1」も、音楽モデル「TW-1」も、同じデザインを採用している。この理由は、社会的な差別をなくしたいとの想いも込められている。

会社のコンセプトとして、人と社会の課題。
とくに差別がなくなるように商品開発を進めているそうだ。


ITライフハック 関口哲司