「出会い系アプリを使ってもなかなかデートまでこぎつけられない」という人は多く、過去には「出会い系アプリTinderを使っても大抵の人はセックスパートナーと出会えない」という研究結果が示されています。出会い系アプリで実際にデートの約束を取り付けることの困難さにうんざりした起業家のデビッド・ティタレンコ氏が、なぜ「出会い系アプリで出会えないのか」を分析し、どうすれば「ちゃんと出会える出会い系アプリになるのか」を論じました。

RFC: Let's Disrupt Dating Apps - Adventures

https://dvt.name/2020/02/24/rfc-lets-disrupt-dating-apps/

ロサンゼルスに住む異性愛者で33歳の独身男性だというティタレンコ氏によると、出会い系アプリは大きく分けて「マシ」「ひどい」「ゴミ」の3つに分けることが可能だとのこと。「マシ」に分類されているのが、Hinge・Bumble・Coffee Meets Bagelで、「ひどい」がTinder・OKCupid・Plenty of Fish。そして、Happn・Badoo・Zooskなどは「ゴミとしかいいようがない」とのことです。

結局、出会い系アプリではなくイベントや社会的な集まり、喫茶店などで女性にアプローチしていくスタイルに切り替えたというティタレンコ氏は、一体なぜ出会い系アプリでデートにこぎつけるのが難しいのかを調査してみました。そこでティタレンコ氏が気づいたのが「恋愛市場の非対称性」です。



アメリカの教育省が発表した統計によると、アメリカの大学生に占める女性の割合は55%と、男性より高い割合。FacebookやInstagramなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用者も、女性の方が男性より多いそうです。しかし、これが出会い系アプリのTinderユーザーともなると、男女比率は9:1になります。比較的女性が多いとされるBumbleでも、女性ユーザーは2割に満たないとのこと。

また、ティタレンコ氏は「出会い系アプリの男女比は意図的に非対象になっている」と主張しています。例えば、Tinderでは気に入った相手とそうでない相手を選ぶ操作(スワイプ)が、無料ユーザーは100回しかできません。また、もうTinderを利用しなくなったユーザーもスワイプ候補に登場してしまいます。2019年には、こうした手口を問題視した連邦取引委員会(FTC)が「数十万人もの消費者を欺いて課金させた」として、Tinder・Hinge・OkCupid・Plenty of Fish・Match.comを運営するMatch Groupを相手に裁判を起こす事態も発生しました。

「女性が出会い系アプリを使っていないのは事実なので、男女比が分かれるのは自然な結果ではないか?」との指摘もありますが、ティタレンコ氏は「女性が男性より、えり好みしやすい立場なのは事実ですが、私が問題視しているのは市場がゆがんでいることそのもので、好みの問題ではありません」と反論。また、若者ほど市場のゆがみの影響を受けやすいことも問題点の1つだそうです。市場調査会社YouGovの調べによると、インターネットが身近な環境で育ったアメリカのミレニアル世代の30%が「常に孤独を感じている」とアンケートに答えているとのこと。



こうした「恋愛市場」の在り方について、ティタレンコ氏は「決して効率的な需給バランスとは言えず、崩壊しています」と指摘しています。そんなティタレンコ氏が出会い系アプリを改善させる方法として提案しているのが以下です。

・「出会い系アプリ」ではなく「シングル向けアプリ」と呼ぶこと

・出会うことではなく、楽しいひとときを過ごすことを目標とする

・利用者を制限して、男女比率を1対1に保つ

・マッチングするだけでなく、時折6〜10人くらいのイベントを開催する

・レーティングやランキングはやらない

・嫌がらせや虚偽などについてはゼロ・トレランス方式で厳格に取り締まること