2月24日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした、専門家会議を開いた。現状は感染拡大への移行期にあたるとし、25日にも、今後の基本方針を発表するという。

 国内でも感染者が目立ち、誰にとっても他人事ではなくなってきたが、ペット好きにとって気になるのは、ペットが新型コロナウイルスに感染するかどうかだろう。

 東京都獣医師会で理事を務める中川清志獣医師は、「新型コロナウイルスが、犬猫含むペットに感染したという報告は、一切ありません」と語る。

「どんなウイルスでも進化する可能性がある。その意味では、感染の可能性を完全に否定することはできません。とはいえ、獣医師会としては、現時点ではペットに感染するとは考えていない」(中川獣医師)

 そもそも、人間の感染症が、ペットたちに移るケースはあるのか。

「細菌が移ることはあります。たとえば大腸菌のように、細菌で起こる食中毒は人から犬に移りますし、犬から人に移ることもある。水虫も移ります。

 ただ、ウイルスには、基本的に『種の壁』がある。種を超えて移ってしまう例としては狂犬病などがありますが、実際には人から他の動物に移るケースはかなり少ないんです」(同)

 もともと人間の風邪の原因に「コロナウイルス」があったように、犬や猫にも、固有の「コロナウイルス感染症」が存在する。逆に、犬や猫のウイルスが人間にかかることはあるのだろうか?

「これまで犬猫で報告されている『コロナウイルス感染症』が、人を含め、他の種の動物に感染したという報告はありません。犬の場合は軽い下痢の症状、猫の場合は伝染性の腹膜炎をおこしますが、どちらもまれな病気です」(同)

 ということは、目下、可能性が高いのは、飼い主の感染ということになる。仮に、飼い主側が感染者となった場合、お世話をしてくれる人にペットを預けなければならない。

 その際は「人から人への感染を防ぐため、なるべくウイルスが付いている可能性のあるペットの毛を洗っておく。あるいは、ペットと接するときにはマスクやグローブをつけてもらい、お世話の後は丁寧な手洗いをするように伝えてください」とアドバイスしてくれた。

 なお、現状、ペットが感染したかどうか検査する方法はない。もし疑わしい症状があったら、どうすればいいのか?

「この場合、まずかかりつけの動物病院に電話してください。病院側が、専門の先生と連携を取りつつ診療します。そのためにも、ペットを動物病院に連れていく前に、必ず連絡を入れてください」(同)