長野県果樹試験場は、果肉がピンク色の晩生リンゴ新品種「リンゴ長果34」を育成した。甘酸っぱく濃厚な食味で、さくさくとした食感が特徴だ。生食用の他にも、果肉の色味を生かしたサラダ用カットフルーツや、セミドライ加工などの幅広い用途を想定する。県は既存の品種にはない新たな需要の創出に期待する。

 果肉が赤やピンクに色づくリンゴは、これまでに民間育種家や大学などで育成した品種はあるが、長野県が育成したのは初めて。

 新品種は11月上・中旬に成熟する。果実の重さは400グラムほど。糖度15で、同じ晩生種の「ふじ」とほぼ変わらない甘さがある一方で、酸度は倍の0・8%ある。皮は濃い赤色。

 果肉の硬度は「ふじ」より高い14ポンド(6・35キロ)ほどあり、「食べた時に果汁が多く、さくさくとした食感」(県農業技術課)がある。

 2019年度中に品種登録出願を目指す。苗の販売時期は未定だ。

 県農業技術課は「用途をあえて限定しない挑戦的な品種。既存の品種にはない食べ方や売り方など新しい価値を創造したいので、意欲ある農家や実需者と共に試行錯誤しながら育てていきたい」と話す。

 県は、26日まで新品種の名称を募集している。「ピンク色の果肉色」や「酸味、濃厚さを特徴とする食味」などをイメージできる名前を希望している。問い合わせは県農業試験場知的財産管理部、(電)026(246)2414。