横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内の感染対策を「悲惨」と告発した感染症の専門家・神戸大学の岩田健太郎教授の動画が波紋を広げている。岩田教授の乗船を取り計らった高山義浩医師は、「下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を追い詰めかねない内容」だとして、事実や誤りについて解説した。
岩田教授は、「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。」という動画をYouYubeに投稿。船内では「グリーンもレッドもグチャグチャ」で感染症対策の基本がなされておらず、「常駐してるプロの感染症対策の専門家が一人もいない」と見聞きした状況を説明した。また、進言しても厚労省の官僚たち聞き入れてもらえず、「出ていきなさい」言われ1日で退出することになったとしている。
岩田教授が船内に入れるよう提案した高山医師は、この告発動画が「下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を追い詰めかねない内容」だとして、事実や誤りについてFacebookで解説。高山医師によると、岩田教授が船内にいたのは「2時間弱」であり、「ご覧になったのは、ラウンジ周辺のみ」と認識していると説明した。
その上で、「ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない」という岩田教授の発言については、「グチャグチャ」という表現が誤解を与えると指摘。「実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ・・・」と説明した。「感染対策するプロが一人もいなくなる」という部分については、「これは間違いです。毎日、感染症や公衆衛生を専門とする医師が乗船して指導しています。ご存じなかったんだと思います」と訂正した。
また、岩田教授が進言を受け入れてもらえず退出することになったことについては、現場は「DMATや自衛隊、検疫所など多様な組織が重層的に活動している特殊な環境」である上に、乗客の下船に向けたオペレーションの最中。そうした中で感染症の指導を始めたため、「現場が困惑してしまって、あの方がいると仕事ができないということで、下船させられてしまった」と説明した。また、高山医師は「政府を批判することは構いませんが、解決を与えないまま現場を恐怖で委縮させるのは避けてほしかったと思います」と述べている。
一方、岩田教授は20日6時過ぎに動画を削除。「ご迷惑をおかけした方には心よりお詫び申し上げます」「これ以上この議論を続ける理由はなくなったと思います」と謝罪した。
動画は削除しました。ご迷惑をおかけした方には心よりお詫び申し上げます。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月19日
これ以上この議論を続ける理由はなくなったと思います。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月19日
高山先生がFBから情報公開しています。彼と公の場で議論するのはよくないし目標でもないので細かいことへの反論はしません。ただ大きな誤解あるといけないので一点だけ。
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月20日
高山先生は「実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ」とお書きになっていますができてなかったのは事実でよって感染の危険を強く感じました。派遣前「クルーズ船の中の本部を外に出すようぜひ進言してほしい。私も何度も主張しているのですが」とおっしゃったのが高山先生です
— 岩田健太郎 (@georgebest1969) 2020年2月20日
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