by kristianlainephotography

オーストラリアのグレート・バリア・リーフの沖で、非常に珍しい「ピンク色のマンタ」が撮影されたと報じられています。

How did this rare pink manta, photographed in Australia, get its color?

https://www.nationalgeographic.com/animals/2020/02/pink-manta-ray-australia-rare/

Startling New Photos Reveal The World's Only Known Pink Manta Ray

https://www.sciencealert.com/photographer-takes-incredible-new-images-of-the-only-known-pink-manta-ray

Rare pink manta ray caught courting lady friend Down Under | Live Science

https://www.livescience.com/pink-manta-ray-spotted.html

世にも珍しいピンクのマンタを写真に収めることに成功したのは、写真家のクリスチャン・レイン氏。レイン氏がInstagramにアップロードした写真は、記事作成時点で5000件を超す「いいね!」を集めています。



ピンク色をした全長約11フィート(約3.35m)の南洋マンタのオスが、初めて発見されたのは2015年のこと。ダイビングインストラクターのライアン・ジェフリー氏によって発見されたピンクのマンタは、アメリカの映画「ピンク・パンサー」シリーズの登場人物にちなんで、「クルーゾー警部」と名付けられました。

'Pink' manta ray seen off Lady Elliot Island in southern Great Barrier Reef - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)

https://www.abc.net.au/news/2015-11-04/pink-manta-ray-seen-off-lady-elliot-island/6910786



それ以来、「クルーゾー警部」はグレート・バリア・リーフ沖で目撃されていますが、目撃されたのは合計で10回未満だとのこと。レイン氏は「クルーゾー警部」の様子を「非常に穏やかで、ただそこにいるという感じでした。彼に会えたのはとても幸運で、身が締まる思いがします」と話しています。

南洋マンタは通常、「全身が黒」「全身が白」「白と黒の混色」の3種類の色をしていることが知られていますが、ピンク色は「クルーゾー警部」が唯一の事例。一体なぜ「クルーゾー警部」がピンク色をしているのかは、はっきりとは分かっていませんが、カメラの故障や塗料などではないことは、オーストラリアのクイーンズランド大学でマンタの研究をしている「プロジェクト・マンタ」が確認済みです。

発見当初、「クルーゾー警部」の色は「フラミンゴがプランクトンを食べてピンク色になる」のと同様に、小さな甲殻類が由来だと考えられてきました。しかし、プロジェクト・マンタの研究員アメリア・アームストロング氏は、2016年に「クルーゾー警部」の皮膚のサンプルを入手して分析した結果から、「食事や感染症のせいでピンクになったのではない」と結論付けています。



ルイジアナ州にあるニコルズ州立大学の水生生態学者ソロモン・デイビッド氏によると、「クルーゾー警部」の色はメラニン色素の突然変異が原因なのではないかとのこと。同様の変異は体が白くなるアルビノや、黒くなるメラニズムがよく知られていますが、ごくまれに赤色を帯びるerythrism(赤髪症)が発生することもあるそうです。

他にも、イギリスのマンタ保護団体Manta TrustのCEOガイ・スティーヴンス氏によって「赤血球の影響ではないか?」との意見が唱えられています。スティーヴンス氏によると、「クルーゾー警部」が普通とは違う色をしているからといって、生存性にはそれほど影響はないとのこと。なぜなら、成熟したマンタは体重が1トン以上になることがあるほど巨大化するので、ほとんどの捕食者は大人のマンタを襲うことができないからです。

また、「クルーゾー警部」はレイン氏によって撮影されている間、他のオスのマンタと一緒にメスに求愛していたとのことで、「クルーゾー警部」と他のマンタの間柄も心配なさそうだとされています。

スティーヴンス氏は「自然はいつでも私たちを驚かせてくれます。今は、青いマンタを探しているところですよ」と話しました。