米Appleは2月17日 (現地時間)、新型肺炎 (COVID-19)の影響で、2020年1〜3月期の売上高予想を達成できない見通しを発表した。売上高予想は1月末に2019年10月〜12月期決算を発表した際に示したガイダンスで、前年同期比で9%〜15%増になる売上高630億〜670億ドルを予想していた。

1月末の決算会見の際に、CEOのTim Cook氏が新型肺炎の影響が販売に及び始めていることを認めていた。しかしながら、その後の感染拡大によって中国で多くのビジネスが春節休暇を延長するなど、1月末時点の予想を上回る規模に影響が広がっており、投資家向けに業績予想をアップデートした。

1〜3月期の売上高が影響を受ける理由として2点を挙げている。1つはiPhoneの供給が一時的に制限されること。同社がiPhoneの製造を委託している工場は湖北省以外にあり、すでに製造を再開しているが、予想より緩やかなペースにとどまっている。そのためiPhoneの供給がグローバル規模で不足する見通しで、Apple全体の収益に一時的な影響が出る。

2つめは、中国における需要と販売の減速。新型肺炎対策として、中国の全てのApple直営店と販売パートナーの多くが一時的に休業した。Apple直営店は再開後、通常より短い営業時間を続けている。消費者も実店舗での買い物を控えており、消費活動が鈍化している。

新型肺炎の状況は日々変化しており、17日時点で新たなガイダンスを示すのは避けたが、「中国以外の国・地域における需要は全ての製品とサービスで力強く、これまでのところ期待に沿ったものになっている」としている。4月に行う次の決算会見で追加の情報を提供する予定。

新型肺炎については影響がどのぐらいの規模に拡大するのか、今はまだ全容が見通せない状況だが、様々な分析でモバイル機器やPC、家電製品の供給が不足する可能性が指摘されている。例えば、IHS Markitは中国におけるテレビやPC向けの液晶パネルの生産が2月に最大で20%以上落ち込むと分析する。Appleのように湖北省に委託製造工場がなく操業がすでに再開されていても、パーツ供給の不足で計画通りに製造できないことが起こり得る。2月も後半に入り、中国の部品メーカーに頼る他の企業から今後同様の業績予想に関するアップデートが続く可能性がある。