JR京都駅にある女性用トイレの扉には、とある紙が付いている。その様子がこちらだ。


なんだこれは(画像はおみ(@Miku_ucd)さんが2020年2月8日撮影)

これはツイッターユーザーのおみさんが投稿したものだ。扉が閉まっているトイレにはバツマークが表示されている。また、開いている扉には、マルのマークが。わざわざ奥まで行って、開閉を確認しなくても、使用状況がわかるのだ。

どういう仕組みなのだろうか。よく見ると、扉には2枚の紙が角度を変えて付いている。例えば、マルのマークを見て個室に入ったとしよう。ドアを閉めると、バツマークが書かれた紙がマルを覆い隠すのである。

「すごい簡易的だけど画期的」だと呟くおみさんのツイートには、

「このアナログ感!マジ神」
「これぞデザイン!」
「これ良いですね。ITOに発展させても安くできる」

といった反応が寄せられている。確かに紙でできているならば、いろんなトイレで活用できそうだ。おみさんもJタウンネットの取材に、

「オリンピック迫る中、街中のサインや交通系のアプリなどIT駆使した設備が増えている印象ですが、『こんな簡単な仕組みでよかったんだ』と目から鱗でした。利用者に考える瞬間を作らず、安くて動力も使わず、画期的だなーと思いました」

と感想を述べた。

こちらのトイレの管轄は、JR東海である。Jタウンネットは2020年2月14日、設置したきっかけを聞いてみることにした。

関西エリアでは1箇所のみの設置

JR東海の広報担当者によると、マークは京都駅の新幹線改札内の女性トイレに設置されているものだという。設置したきっかけは、トイレの構造にあるという。

「こちらの女性トイレは、柱の位置が視界を遮るなど、構造上見通しがよくないです。そのため、従前より、お待ちいただく際の並び方や掲示板等に『こちら側に並んでください』といった表示をし、改善の施行を繰り返しておりました。

『〇×』マークもそういった取り組みの一環で、2018年頃から表示しております」(広報担当者、以下同)

この取り組みは、京都駅及び同駅でJR東海が清掃を委託しているグループ会社の独自の取り組みによるものだという。試験的に実施しているため、素材は紙を使っていると述べる。

「ツイッター以外の場所でも、わかりやすいとご好評をいただいているため、今後の設置方法については耐久性や見やすさを踏まえて検討してまいります」

ちなみに、JR東海が所管する関西エリアの駅では、1箇所のみの設置だそうだ。女性用トイレ限定なのである。男性用トイレには設置しない理由については、見通しの問題がないからだという。あくまで、見通しの良さを改善するための施策なのだ。

広報担当者は、今回話題になったことについて、こう述べた。

「スペースに限りがあるため、見通しの悪さや混雑等でご迷惑をおかけする場面があり、心苦しく思っております。

ですが、こうした工夫で少しでも快適にご利用いただければありがたいと考えております」