ハノーファーがホームにハンブルガーSVを迎えた。ドイツ北部のライバルクラブ同士の一戦、本来であればともに1部で戦っていてもおかしくない。だが、ハンブルガーは降格2シーズン目、ハノーファーは今季から2部で戦っている。試合前の時点でハノーファーは12位。一方、ハンブルガーは2位で、昇格を狙える位置にいる。結果は1?1の引き分けで、順位は変わらなかった。

 アウェーながら積極的に攻めるハンブルガーに対して、ハノーファーはどうにか耐え続けて後半に得点、しかし、試合終了間際のCKで同点に追いつかれた。


10試合連続でフル出場を続けている原口元気(ハノーファー)

 ハノーファーの原口元気は10試合連続でフル出場を果たした。前節グロイタ―・フュルト戦で2試合連続ゴールを決めるなど、好調を維持している。この日の前半は3−5−2のトップ下でプレーした。ポゼッション率はハノーファー41%、ハンブルガー59%。ボールを回され、守備に追われる時間帯も長かったが、相手のボランチであり攻撃の起点となるギデオン・ユングにつき、仕事をさせなかった。

 ただ、攻撃になると、なかなか原口にはボールが入らなかった。後半に入ってボランチの位置に下がると、ようやく原口を経由した攻撃の形ができ始める。51分にはセドリック・トイヒャートが決めて先制。ようやくハノーファーのペースで試合が動き出した。

「前半は10番(トップ下のポジション)で出て、あまりチャンスがないなかで、粘りながらチャンスは狙って……という感じでした。後半、6番(ボランチのポジション)になってからのほうが、ボールを触れた。6番に入ってからの方がチームにプラスになったかなと。10番では、相手のディフェンスと中盤の間で受けることと、裏(を狙うこと)を意識していますけど、肝心のボールが出てこなければ、あまり意味がないからね」

 ハノーファーは連動して攻撃するという意識が薄く、中盤でボールを奪ったらとにかく前方に送るだけ。原口にチャンスは訪れなかった。それが後半になって原口の位置が下がると、ボールを奪ったあとの動きに工夫が出るようになった。

「中盤の底から持ち上がった時の方が、チャンスになっていた。(自分がトップ下で出ている時に、ボランチで)それをやってくれる選手がいればいいんだけど、ボールが入ってこないのもわかるでしょう?」

 本来はトップ下で攻撃陣を動かしながら、自身も得点に絡みたいところ。どうにもならない状況に、ぼやくように話した。

 とはいえ、たとえ自分にボールが回ってこなくても、この日のチームの戦いぶりには、「悪くなかったと思う。みんなよく走って戦っていた」と、それなりに手応えも感じていた。だがそれも、最後の最後にセットプレーでやられるまでの話だ。

 アディショナルタイムに入って、ハノーファーは相手にCKを与えてしまう。この時、ゴール前で混乱が起きた。原口へのベンチからの指示は、マーティン・ハルニクのマークだった。だが、ハルニクにはすでに別の選手がマークについていた。ハンブルガーはラストチャンスにかけるため、GKも前線に上げていた。自分がハルニクにつく必要がないと判断せざるを得なかった原口は、相手GKを見ることにしたと言う。結局、ゴール前でのマークの混乱が収まらないまま、原口の頭上を越えたボールを決められた。

「せっかくそこまで頑張っていたのに、納得がいかない」

 防げた混乱だったことは明らかで、原口は苛立ちを隠せなかった。

 ハノーファーは、後半アディショナルタイムに失点して追いつかれる試合が続いている。2節前のホームでのヴィースバーデン戦も、まったく同じ展開で引き分けに終わっていた。また、ホームではここまで11試合でわずか1勝。ホームでの勝ち点3を計算できないと苦しくなるのは当然だ。

 ケナン・コツァク監督は「この経験が自分たちを強くする。次の試合での勝ち点のために戦い続ける」と言うが、昇格を狙うのであれば、何かしら改善が必要なことは明白だ。