ASSOCIATED PRESS

アップルの新製品は、春と秋に発表されるのが通例となっています。様々な事情が世界を揺るがせつつも、それらの量産や発売の準備が進んでいると示唆する噂が続々と届いています。

5G対応iPad Proが今年後半に発売?からAirPods Pro Lite準備中?まで、最新のアップル噂をまとめてお届けします。

最大のiPhone生産拠点が操業再開、ただし従業員が10%しか復帰せず


SIPA USA/PA Images

今なお中国・武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスの脅威が続くなか、中国大陸に主要な工場が置かれたiPhoneの生産も先行き不透明となっています。

特に懸念されるのが、iPhone最大手のサプライヤーである台湾Foxconnの生産拠点です。その1つである深セン工場については「週明けの生産再開が中国当局に許可されなかった」との報道があった後に、当の深セン当局が事実ではないと否定する声明を発表しました。

が、それと合わせて「まだ検査を行っており、それが完了しだい生産が再開する」と言い添えており、裏返せば検査完了までは再開を先送りするとも解釈できることに苦慮が窺えます。

かたや最大のiPhone生産工場がある鄭州での生産再開は承認されたと報じられた一方で、全従業員の10%しか復帰していないとも伝えられていました。工場施設を再稼働できたとしても、中国各地で移動制限が拡大していることもあり、物理的に現地に戻るのが困難になっている事情もありそうです。

中国はiPhoneの「生産」拠点のみならず重要な「市場」でもあり、アップル直営店もほとんど閉鎖されているなかで、北京の店舗は14日(現地時間)から短縮営業で再開しています。アップルは小売店や認定サービスプロバイダなどにデモ機を1日に最低2回クリーニングすることを推奨するガイドを配布したと伝えられていますが、事態の一刻も早い沈静化を祈りたいところです。

Macの平均マルウェア検出数、初めてWindowsを上回る(2019年:Malwarebytes調べ)


Chainarong Prasertthai via Getty Images

「MacはWindowsよりも安全」なぜなら普及台数が少ないため犯罪者に狙われにくいから......とほぼ根拠なしに信じられてきた神話を、揺るがすかもしれない報告です。

この報告のベースとなっているのは、セキュリティソフトウェア会社Malwarebytesが、自社ソフトをインストールした環境について調べた統計です。よって「全世界のMacやWindows環境を対象とした調査ではなく、いちソフトウェア会社の顧客に限ってのこと」(もともと外部から攻撃されていた自覚があるかもしれないユーザー層)だと留意する必要はあります。

ともあれ、2019年内において同社のウイルス対策ソフトに関しては、Macの1台当たり検出マルウェア数がWindowsのそれを上回ったとのこと。エンドポイントあたりの平均脅威検出数は、前者が11個に対して後者が5.8個だと述べられており、実に倍近くにも上っています。

それに加えて、Mac全体で確認されたマルウェアは前年比で400%も増加したとのことです。Macの市場シェアが縮小しているなかで(出荷台数は増えているが、PC全体の出荷台数はそれを上回っているため相対的に低下)「Macがサイバー犯罪者の標的になりつつある」可能性を示唆するデータではあります。

ただしWindowsのマルウェアが古典的かつビジネスユース狙いに対して、Macは広告を強制的に見せるアドウェアやPUP(有害な可能性のあるプログラム)が上位を占めているかたち。アップルがそれより深刻な脅威を優先している姿勢の裏返しともいえそうですが、Macユーザーも狙われている意識を持って自衛に努めた方がよさそうです。

「AirPods Pro Lite」が準備中?新型iMacも開発中のうわさ


AirPodsシリーズが快進撃を続けている報告はたびたび伝えられていますが、また新型が登場するかもしれないとの噂話です。

噂の出所は、台湾サプライチェーン情報でおなじみのDigiTimesです。同誌は新型コロナウイルスの流行が中国での生産を脅かしている状況において、アップルが台湾のパートナー企業による生産拡大を検討していると報道。その文脈の中で「新世代のiPad、Apple Watch、AirPod Pro Lite、およびiMacデバイスのさらなる生産を担当させる可能性がある」と何げなく触れているかっこうです。

AirPods ProはAirPodsシリーズの上位機種です。その「Lite」は通常の字義通り解釈すれば機能省略かつ廉価版という意味であり、ProのLiteであればノーマルではないかとの指摘もあります。そこを「一部の機能のみ削除」とすれば、たとえばアクティブノイズキャンセル機能をなくして、無印よりも耳から滑り落ちにくいデザインを「Pro」としての付加価値とするのでは......との憶測も成立しそうです。

とはいえDigiTimes報道はサプライチェーン筋ゆえに「生産準備中、あるいは量産している」情報の確度は高めではあるものの、発売日や製品名を外すことはままあります。当面はそれよりも、新型コロナウイルスの影響もあるとも噂されるAirPods Proの品薄が、いつ解消されるかに注目が集まりそうです。

新型コロナウイルス、iPhone SE2(仮)とiPhone 12(仮)の生産・開発に影響か。有名アナリストが警告

iPhone、SE2(仮)の準備は順調だが12(仮)の生産は遅れる可能性があるとの噂


2020年は小型かつ廉価なiPhone SE2(仮称。iPhone 9という説もあり)とフラッグシップモデルiPhone 12シリーズ(仮)の登場が噂されており、いずれもアップルにとっては重要な位置づけと予想されています。すなわち前者は安価な端末が好まれる中国やインドをはじめ新興国での市場シェアを拡大し、後者は遅れを取っていた5G対応での巻き返しを図るというぐあいです。

新型コロナウイルスの脅威は、これら未発表iPhoneの生産にどのような影響をおよぼすのか。まずアップルのインサイダー情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏によれば、中国・鄭州市にあるFoxconnの工場がiPhone SE2にとって最重要の生産拠点であり、そこに大幅な遅延が発生しているとのことです。

さらにiPhone 12の開発を担当しているFoxconn深セン工場では、総労働力の30%を占める開発チームが春節の連休中(他のiPhone工場は操業停止していた期間)も休みを取らなかったとのこと。ゆえに開発の遅れはさほどではなさそうだが、残りの生産ラインの再開は少なくとも1週間は延期されたと述べています。

その後、やはりサプライチェーン情報に詳しいDigiTimesは、iPhone SE2の生産拠点が台湾に移されたと報道。そちらは準備が順調な一方で、iPhone 12についてはアップルがEVT(iPhone量産準備に向けた初期の段階)を支援するために中国にエンジニアを派遣するのを辞めたと伝えており、量産開始が遅れる可能性を示唆しています。

しかし、新型iPhoneが発表されながらも、量産が間に合わず発売がかなり遅れる事態は、過去にも前例があります。たとえば2017年のiPhone Xは11月に発売され、2018年のiPhone XRは10月発売でした。今年もiPhone 12シリーズは予定通り9月に発表され、実際の販売は10月か11月にずれ込むかもしれません。

5G対応iPad Pro、A14(仮)と3Dカメラ搭載で2020年後半発売のうわさ


今か今かと待つ人も少なくない新型iPad Proですが、初の5G対応モデルが今年後半にリリースされるとの噂が伝えられています。情報のソースは、今週も何度も引用している台湾DigiTimesです。

サブ6GHz(5Gの遅いが範囲が広いほう)およびミリ波(スピードは速いが範囲が狭い方)両対応との噂もさることながら、Wi-Fiモデル購入希望者にとっても興味深いのが5nmプロセスのA14(仮)プロセッサが搭載されると示唆されている点です。このA14は、iPhone 12シリーズにも採用が噂されているものです。

発売当時は「市場の92%のノートPCよりも速い」と喧伝されたiPad Pro(2018)搭載のA12X Bionicも、すでに1年以上前のプロセッサです。さらにいえばiPhone 11シリーズのA13よりも1世代前となったいま、iPadOSの登場によりノートPC的な使い方もしやすくなったProユーザーにとって、省電力とスピード向上を共に実現する可能性あるA14シリーズ(おそらく強化版のA14X(仮))は大きな魅力を持つはず。

それに加えて、これまで何度も報じられてきた「背面にToF方式の3Dカメラ搭載」の噂も再確認されています。「今年3月に発売」は望み薄となってきた感はありますが、待ったかいのある素晴らしいデバイスを望みたいところです。