全豪オープン前に練習する大坂とフィセッテコーチ

「まだ、チャンピオンとしての精神的な強さがない」
 1月24日、全豪オープン3回戦。1年前、世界ランキング1位を手にした思い出の地で、15歳のコリ・ガウフに敗れた後、大坂なおみ(22)は、そう振り返った。

 大坂を見続けてきたテニスライターは、「また、いつもの “なおみ展開” になってしまいました……」と語る。

「今季ツアー初戦だったブリスベン国際でも、準決勝で元世界1位のカロリナ・プリスコバ選手を相手に、『あと1ゲーム取れば勝利』というところから逆転負け。

 いいときは手がつけられないほど強いが、つまずくとメンタルの弱さを露呈する。今大会も、不安定な試合運びの連続。まったく改善されていません」

 ガウフとは2019年に一度対戦し、勝利。今回は大坂自身も、「絶対有利」と認識していた試合だったが、イージーなミスが重なると、試合前の自信は “重圧” に変わっていった。 

 2019年12月に、新コーチのウィム・フィセッテ(39)を迎え入れた大坂。フィセッテは、徹底したデータ収集と的確なアドバイスで、ウィンブルドン優勝に導いたアンジェリック・ケルバーをはじめ、4大大会の決勝に4選手を送り込んだ名コーチ。しかし、現状は大坂のデータを生かしきれていない。

「2回戦の相手・鄭賽賽選手のように、大坂にはバックのスライスを多用したり、プレーのテンポを遅くするのが効果的。そういった状況でミスが出ると、大坂は勝手にイライラしてくれますから」(前出のテニスライター)

 大坂のコーチを務めたのは、2019年だけで、現コーチのフィセッテも含めて4人にのぼる。

 サーシャ・バイン(35)と2019年2月半ばに突然の “関係解消” 。その後、ジャーメイン・ジェンキンス(39)が2019年9月までの半年間を務め、フィセッテが登板するまでは、大坂の父・フランソワさんが臨時コーチだった。

「バインは、彼女のメンタルの弱さを知って、幼な子に接するように指導していた。だが大坂は、真綿に包まれるようにかまわれたい一方で、大人扱いされないとむくれる “プリンセス型” 。世界ランク1位になっても、バインからは多くのことを助言されすぎて、嫌気が差した。

 ジェンキンスは、技術面の指導に定評があり、大坂が憧れるセリーナ・ウィリアムズの元練習パートナー。だが、バインと正反対でかなりストイックだ。

 そんなとき、ラッパーのYBNコーデー(22)が大坂の彼氏に。恋人に入れあげ、練習をおろそかにする大坂にジェンキンスが注意すると、私生活に口出しされたことに怒った大坂と冷戦状態に。

 両コーチとも大坂との距離感を見誤り、契約解除になった。その点は、フィセッテも注意しないといけません」(マネジメント関係者)

 関係悪化の理由が毎回同じなら、大坂からのクビ宣告の方法も毎回変わらない。大坂がツイッターで、「今後、一緒に仕事はしない」と発表することで、周囲は “クビ” を知ることとなる。

 今回、父・フランソワさんがコーチ探しに奔走した結果、「今までにいなかったタイプ」というフィセッテの新コーチ就任が実現した。そんな “データの鬼” フィセッテの頭脳に、大坂なおみのファジーすぎる “お姫様気質” が、完璧にインプットされているといいのだが……。

写真・The New York Times/Redux/アフロ

(週刊FLASH 2020年2月11日号)