キャベツなどの結球類を中心に野菜相場が低迷している。1月下旬(23日まで)の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、キャベツが過去5年平均(平年)比39%安で、過去10年の同時期で最安値の1キロ54円。ハクサイも平年比32%安の44円と苦戦する。暖冬で西南暖地産を中心に潤沢な出回りが続く一方、鍋物需要が振るわない。供給過多の状況は来月も続く見込みで、産地は危機感を募らせる。

 1月中旬は主要14品目のうち、10品目で平年を下回り、下旬も安値基調が続く。キャベツやハクサイの他、レタスも平年比26%安の1キロ161円。ダイコンも31%安の51円だ。

 キャベツ産地、JAあいち経済連の日量出荷量は、前年比2割増の10万ケース(1ケース10キロ)が続く。生育が順調で、大きめの6玉級の割合が全体の3割弱(平年は2割)を占める。「加工・業務筋は契約産地分で供給が満たされており、小売りに仕向けるしかない」(同)と豊作分を市場に振り向けている。来月も数量が多い状況が続く見通しだ。

 JA全農兵庫によると、ハクサイ産地のJAあわじ島は日量1万5000ケース(1ケース15キロ換算)で、作柄が安定していた前年とほぼ同量を出荷する。「2月に出回る品種も既に出ており、年明けからピークが続いている状況」と話す。JA全農いばらきは台風の影響を受けながらも、前年比1割減の日量400トン前後の出荷だ。

 低迷に拍車を掛けるのが、年明けから続く気温高だ。東京都の1月上旬と中旬の平均気温は平年を1度以上上回り、鍋物需要が盛り上がっていない。首都圏の中堅スーパーでは、鍋物向けにハクサイの4分の1カットを78円(税別)で販売する。販売点数を伸ばすため売価を下げているが、「暖冬で消費が伸び悩んでいる。売価を下げても消費者は急に多くを買わない」と販売環境の深刻さを漏らす。

 東京の卸売会社は「当面は厳しい販売環境が続く」と見通す。

産地は悲鳴


 価格低迷を受け、農家からは悲痛な声が上がっている。全国屈指のキャベツ産地、JA愛知みなみは平均3週間程度生育が前倒ししている。JAの常春部会長で愛知県田原市でキャベツを5ヘクタール栽培する赤佐敏生さん(56)は「運賃値上げや資材の消費税増税で厳しい中、相場低迷で完全な採算割れ。経営が厳しく、後継者が入れなくなる事態だ」と深刻さを語る。

 JA青果販売課の担当者は「豊作で農家の手取り確保が非常に厳しい」と訴える。市場と情報連絡を綿密にしながら打開策を探っている。

 ハクサイ産地、茨城県のJA北つくば。昨冬も厳しい相場で、昨秋は相次ぐ台風被害があり、JA西部営農センターの相澤真之営農指導員は「農家は非常に厳しい。例年の冷え込みに戻り、消費が回復してほしい」と願う。生育中に台風があり根が傷ついた他、最近は暖冬や雨続きで芯に穴が空き、出荷できないハクサイも多いという。