定期的に乗っているクルマのほうが調子は良い

 クルマは乗らないと新車のままで、極上を保てるかというと必ずしもそうでない。オイルもガソリンも抜いて、錆び止めの処理をしつつ、タイヤは外して、エアコンで管理された密閉空間に置いておけば保てるかもしれないが、それでもずっと新車の状態を保てるわけではないだろう。

 実際はせいぜい雨風しのげるガレージのなか程度なわけで、それでは自然に劣化は進んでしまう。ガソリンは3カ月ぐらいから劣化し始めるし、タイヤも含めたゴム類は油分が次第に抜けていく。エンジン内部も固着やサビが発生することも考えられるし、車内は換気もせずに密閉されていれば湿気がこもることもあるだろう。つまり、置いておくだけで、どんどんと劣化するのだ。

 旧車専門店に取材に行くと同様のことをよく聞くことができ、「30年落ちでも走行1万kmぐらいの出物がポッと出てくることはあるけど、調子を取り戻すのが大変。走行がかさんでいても、定期的に乗っていたクルマのほうがよほど調子はいい」という意見が大半だ。

最低でも週に1度エンジンがしっかり暖まるまで走ること

 人間と同じで、寝てばかりいると長生きするかというとそうでなく、ある程度のストレスなどがあったほうが元気でいられるのと同じ。クルマも動いて、さまざまなところに、適度な負荷がかかったほうが調子はいい。

 では、最低でどれぐらいの頻度で乗るのがいいかというと、週1回、エンジンがちゃんと暖まるまで走るというのが目安となる。近所を1周する程度だと、エンジンにしっかりと熱が入らないし、バッテリーも活性化されず、劣化が進んでしまう。つまりちょい乗りはダメで、逆にクルマを痛めてしまうこともあるので注意が必要だ。

 週1回が無理でも、月に500kmぐらいは走りたいところ。そうすると、1年で6000kmとなって、10年で6万km。今まで、いろいろな中古車を見てきたが、このあたりが好調維持の最低ラインのように思える。さらに10年10万kmぐらいのペースなら、メンテさえキチンとしていれば問題なく、好調を維持できるはずだ。