楽天市場で3980円以上の買い物をしたら「送料無料」にしますーー。こんなサービスが2020年3月18日に始まるという。買い物客にとって、単に「送料無料」となるなら、ありがたいの一言。

しかし、送料は誰かが負担しなければならない。その負担分を楽天側が一切負担せず、店側が商品へ価格転嫁する、あるいは価格転嫁すらできず店側が全額かぶるとしたらどうだろうか。店側の一部は、一方的な負担の押しつけに反発している。

その反発は具体的な動きとなってきている。今回の楽天の方針などに反発し2019年10月に結成された「楽天ユニオン」は、1月22日に公正取引委員会に対して署名提出を予定している。

出店者は、送料無料サービスをどのようにとらえているのか。また、公正取引委員会にどのような内容の署名を提出するのか。楽天ユニオンに聞いた。

●無料にする送料全額は店舗側の負担となる

ーー送料無料サービスについて、楽天からはどのような連絡がありましたか

「2月中旬ごろに楽天側のシステムが変更され、特定の商品について送料無料の対象外にするなどの設定が可能となるようです。

楽天からは、3月18日の送料無料サービス開始までに、その無料商品の設定をするように連絡がありました」

ーー送料の負担については、どうなる予定でしょうか

「楽天側は1円も負担しないつもりのようです」

ーーそうすると、店側が無料にする送料全額を負担するということでしょうか

「今のままではそうなると思います。店側としては、送料負担への対策として、商品価格へ送料を含めた金額で販売することが考えられます。

しかし、単に値上げをすれば、客足が遠のいて、売り上げ減となるのが自然です。

また、送料無料をうたっておきながら、店側が負担する送料を商品価格に上乗せすることは、(実質的には送料を客が負担することになるため)景品表示法で規制されている『優良誤認表示』にあたるおそれがあるとの指摘もあります。

値上げをしても苦しくなるが、値上げすらできないというようなことになれば、店側は最初から赤字となるものを売らざるをえず、まさに八方塞がりとなりかねません」

ーー楽天側は商品価格への上乗せについてどう考えているのでしょうか

「楽天市場の出店者が観られる動画サイト『楽天大学』内の動画で、店側には『価格の調整をお願いします』と伝えてきました。なんらかの形で値上げすることを暗に求めているのではないでしょうか」

●「楽天側が述べている売上予測は、誤ったテスト結果によるものだ」

ーー三木谷浩史社長は講演で、「ラフな予測だが、送料無料ラインの導入により10%以上の売上高の伸びが望める」などと述べたようですが

「3980円の送料無料ラインを実験的に導入するテストに基づく見解だと思います。しかし、そのテストでは、楽天側が送料を負担するクーポンを利用者側に配るなどして、意図的に購買率を上げるようなやり方をしていたようです。

楽天側が送料を負担するようなテストの結果で、実際には店側が負担することになる送料無料サービスでの売上予測を語るのはおかしいと考えています。

テストの結果の誤りについては、楽天ユニオンとして、1月22日の記者会見で明らかにする予定です」