カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンへ逃亡したのは先月29日。その2日前、彼は20年も通った東京・田町にある焼き鳥店に娘と一緒に出掛けていた。何でも好物はねぎまで、10串をペロリと平らげたそうだ。日本脱出に備えて、英気を養ったのかもしれない。実を言うと、両親がレバノン人であるゴーン被告には、ほかにも馴染みのレバノン料理店があるという。早速、訪ねてみたが、意外な反応が……。

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【動画】週刊新潮が直撃していたゴーン被告

 そもそもレバノン料理と言っても、日本人にはピンとこないだろう。法務省の在留外国人統計によると、2019年6月末時点での在日レバノン人はわずか144人。どうりでレバノン料理にもなかなかお目にかかれないわけだ。

ゴーン逃亡で“行きつけのレバノン料理店”は大喜び

 1975〜90年にかけて断続的に起こったレバノン内戦を避けるため、多くのレバノン人が欧州や南北アメリカに移住した。そのため欧米ではダイエット食としてレバノン料理が親しまれているという。実際、レバノン料理は、野菜やハーブ、オリーブオイル、ゴマ、レモン、ヨーグルトを使ったものが多く、ヘルシー。女性に好まれそうだ。肉料理は、中東では広く知られたケバブがある。牛肉、羊肉、鶏肉を串焼きにしたもので、インド料理のシシカバブのようにスパイスは効いていない。他に、ヒヨコマメをコロッケにしたファラーフェル、焼いたナスをすり潰してオリーブオイルや香辛料を混ぜたペーストのババ・ガンヌージュ、パセリやトマト、玉ねぎをみじん切りにしてオリーブオイルとレモンで和えたタッブーレなどが人気料理という。

 1月の某日、ゴーン被告が気に入ったという都内のレバノン料理店に出掛けてみた。予約は入れずに店に入ると、恰幅のいいレバノン人のオーナーが、

「今日は駄目ね、貸し切りになっている」

 少し覗いてみると、店内にはテレビカメラが入り、撮影準備中だった。女性レポーターの姿もあった。仕方がないので、翌日の予約を入れ、引き上げることにした。

ゴーンの好物は「タッブーレ」

 翌日、予約を入れた時間に店に入ると、

「昨日はすみませんでした。民放テレビの撮影が入っていたし、撮影後も予約で満席だったのです」

 と、オーナー。名刺を切って、取材の意図を告げた。ゴーン被告がレバノンへ逃亡したことや、1月8日の記者会見について聞こうとすると、

「話してもいいけど、お金かかるよ。それに、ゴーンがうちに来て何を食べたという話ならいくらでも話せるけど、レバノンに逃亡したことや記者会見のことは言えないね」

 まさか謝礼を要求されるとは……。いくらなのか聞いてみると、

「テレビは1回の撮影で10万円。2回撮影したから、計20万円ね。雑誌だったら、その半分でいいよ」

 オーナーはにこにこ笑いながら、領収書の控えを見せてくれた。確かに10万円とある。それが2枚だ。

「テレビから取材の依頼はいっぱい来ているよ。NHKは金額が折り合わず、断ったね」

 ゴーン被告は、店に何回来たか尋ねてみると、

「昨年の8月と10月の2回来たね。最初、彼が来た時はびっくりしたよ。まさかと思ったね。あなたの座っている椅子の向かいの席に座っていたよ」

 そう言うと、オーナーはその席に腰かけ、ゴーンのようにふんぞり返って見せた。

「店の客もみな驚いて、ゴーンさんと握手、握手。それから記念撮影も。僕も彼と記念撮影。彼はいい人だよ」

 ゴーン被告が好きな料理は、パセリがたくさん入ったサラダ、「タッブーレ」という。

「レバノン人だったら、タッブーレは毎日でも食べたい料理。ゴーンさんは、よく食べたよ。デザートもたくさん食べた。うちの味を気に入ってくれて、また来ると言ってくれたのに、レバノンに行ってしまった」

 オーナーは、ゴーンが店に来た時のことを思い出しているような素ぶりを見せ、

「テレビの取材では、まだまだ話していないことがいっぱいあるよ。テレビは1回の放映で終わりだけど、雑誌は活字が残るからね、色々話さないと……」

 こちらに取材をして欲しいと催促しているのだろうか。

「取材依頼は、これからもどんどん来ると思うよ。だから、一度に全部は喋れないね。少しずつ小出しにしないと、新鮮味がなくなるからね」

 なかなか、計算高いのである。思い切ってオーナーに、2万円ではどうかと交渉してみると、

「2万円? 全然駄目!」

 商魂たくましい――。

週刊新潮WEB取材班

2020年1月17日 掲載