実際それで良い形も作っていましたが、意図してやっている感じではありませんでした。

5)DF、ボランチの攻撃参加。

 ポジティブな点でも挙げましたが、飛び出した時には大きなチャンスが生まれました。
ボランチはカウンターアタックに備えることが多く、なかなか前線に飛び出すことが出来ていませんでした。

 ただ、カタールの1トップ、シャドーの1枚を見るのであれば、3バックで足りています。またシャドーが2人残ったとしても、もう片方のボランチがマークにつく、アラートに対応出来るようにしていればもう1人のボランチが前線のサポートや、ウイングバックのサポートにもっと参加出来たはずです。

 その点、3バックの両ストッパーがウイングバックのサポートをする形ばかりでどうしてもバックパスになる機会が多くなってしまいました。

 最終的にカタール戦は、退場者を出しながらも先制し、PKで追い付かれはしたものの引き分けで終わり、3試合の中では一番いい試合になったと感じました。

 では、なぜこの試合は良くなったか。

 それは、フォーメーションにあると思います。後半、退場者を出したことでフォーメーションを3-4-2-1から4-4-1に変えました。

 それによって立ち位置。カタールはマークが非常に付きにくくなりました。日本のトップ下の選手がボランチのサポートに入る際、前半は3バックでマーク出来ていましたが、中盤の低い位置に下りられるとついていけません。そのためカタールの中盤はプレスが後手になっていきました。

 
 守備時も後ろのダブついていたCBが1枚減ることで前の選手の意識が変わりました。
中盤エリアのスライドの速さ、カタールのウイングバックに出た際のプレスバックなど役割は増えましたが、スムーズに人のスライドが出てきていました。

 間延びも減りました。テレビ画面に全員(フィールドプレーヤー)が映る機会がぐっと上がりました。なぜなら10人がバラバラで伸びたままなら守れないと選手は知っているから。終盤は疲れから押し込まれるようになってしまいましたが、3試合の中でも相手に攻められた際の意思疎通を感じられる試合になったと感じました。

 以上からカタール戦の後半は、今後のヒントをいろいろと含んでいた内容になったと思います。ディフェンスラインが押し上げられないのであれば前線が戻る。日本が攻め込んでカウンターを受けそうな時でも誰がカタールの前線の選手にマークをつくのかハッキリしていました。
 
 逆に弱点も見られました。これは3試合通じての問題と共通していました

 それはCBの脆さです。たぶん、この脆さが怖くて3バックにしていると僕は思います。スライド、ラインコントロールの敏感さ、速さ、守備範囲の広さ、クロスボールへの対応の範囲。CB、中央の戦いで負けた際フォロー出来る人数が少ないのは怖い、と監督が感じているのではないでしょうか。

 ただ、3試合を通じてカウンターを受け失点した時、枚数が足りてないわけではありません。だいたい横に1人選手がいます。それならCBの枚数を減らす事で中盤エリアの攻防でより優位に進められ、CBも攻撃時、守備時共によりアラートになるはずです。

 昨日の試合までずっと3バックで戦ったのは、オリンピックでは相手が格上になると想定しているのかもしれません。ただ、そうすることで、結果として攻撃の形がなかなか出来ず、特にセンタリングからのゴール前の人の少なさは気になりました。

 ピンポイントで上げられる力をサイドの選手も持っているので、数は少ないですが毎試合チャンスは作っています。ゴール前に枚数がもっと入れるようになったり、入るポイントが整理されれば、さらに決定機に繋がると思います。