陸海空の自衛隊へ2020年配備の新装備から、注目の5つをピックアップしてみました。いよいよ陸上自衛隊での運用が始まる「オスプレイ」や、その名前がどうなるのか耳目を集めている海上自衛隊の新型艦などを見ていきます。

自衛隊の航空機運用を一変させるかもしれない新鋭機

 2020年、自衛隊に新装備がお目見えします。導入決定当初より話題になっていたものから、どのような名称になるのか、いまだわからない新ジャンルの護衛艦まで、5つ紹介します。

「日の丸オスプレイ」木更津に配備 新部隊発足(3月)

 V-22「オスプレイ」の陸上自衛隊仕様機が、3月、千葉県木更津市の木更津駐屯地に配備される予定です。「オスプレイ」は2013(平成25)年度予算で調査費が計上され、2015(平成27)年度から2018(平成30)年度までの4年間で計17機が調達されました。


ティルトローター機という、これまで自衛隊では運用したことがない新形態の航空機であるV-22「オスプレイ」(画像:陸上自衛隊)。

 当初は、佐賀空港に陸上自衛隊の駐屯地を新設し、そこに集中配備する予定でしたが、その開設が遅れるため、既存の木更津駐屯地へ暫定配備することになりました。部隊の新設とともに「オスプレイ」の、日本国内での運用が始まります。

新型飛行点検機 U-680A引き渡し(3月)

 同じく3月には、航空自衛隊にも新機種の配備が予定されています。セスナ社製の「サイテーション」ビジネスジェットがベースのU-680A飛行点検機で、老朽化したYS-11飛行点検機、通称YS-11FC(フライトチェッカー)の後継として調達された機体です。

「飛行点検機」とは、空港や飛行場などにある、航空機の離着陸などを支援する航行援助装置や航空管制施設が正常かどうかチェックするためのものです。民間空港は国土交通省が、自衛隊の飛行場は航空自衛隊が検査を実施しています。

 U-680Aは、最終的に3機配備される予定で、それにともない2020年度後半にYS-11FCは運用を終了することになっています。

海上自衛隊初の能力を持つ2艦の就役

 2020年3月は、新型自衛艦の就役も控えています。

最新型イージス艦「まや」就役 海自初の能力も(3月中旬)

 日本のイージス艦としては3タイプ目となる、まや型護衛艦の1番艦「まや」が3月に就役します。基本的な艦形は前のタイプである、あたご型を踏襲していますが、機関を一新したため、同型よりも全長で5m、排水量で約450t大きくなっています。


2018(平成30)年7月、ジャパン・マリン・ユナイテッド横浜事業所で進水したときの護衛艦「まや」(画像:海上自衛隊)。

「まや」は自衛艦として初めて「CEC(Cooperative Engagement Capability、共同交戦能力)」を搭載しています。これは、護衛艦や潜水艦、航空機などがネットワークで結ばれ、各々が捉えた敵情報を共有するもので、護衛艦単体では捕捉することができない水平線以遠にある超長距離の目標も、味方機のレーダーが捉えていればリアルタイムで識別し、攻撃できるというシステムです。

初のリチウムイオン電池搭載潜水艦「おうりゅう」就役(3月中旬)

 潜水艦「おうりゅう」も3月に就役します。「おうりゅう」は、そうりゅう型潜水艦の11番艦で、海上自衛隊の潜水艦で初めてリチウムイオン電池を搭載しています。

 これは従来の鉛電池に比べ、大容量大出力で、それまでのような補助発電装置(スターリング機関)も搭載されなくなりました。「おうりゅう」の就役で、海上自衛隊は次世代の潜水艦戦力を手に入れることになります。

海上自衛隊始まって以来、初めての艦種「FFM」の進水

 さらに2020年後半には全く新しい護衛艦の進水式が予定されています。

海自初の新艦種FFMが進水 気になる艦名基準(11月)

 11月に進水する予定の新型護衛艦は、これまで海上自衛隊が運用してきた水上艦艇の種類にはあてはまらない新世代艦です。予算編成の上では「3900トン型護衛艦」と呼ばれており、艦種記号は「FFM」という初めて使われるものです。

「FFM」とは、フリゲートを表す「FF」に、機雷(Mine)や多用途性(Multipurpose)を意味する「M」を加えたものといい、アメリカ海軍などにもない、海上自衛隊独自の艦種記号です。


これまでにない、新たな艦種として登場予定の3900トン型護衛艦のイメージ(画像:防衛装備庁)。

 このタイプは、護衛艦としてだけでなく、従来掃海艦艇のみが有していた機雷処理能力も付与されているのが特徴で、様々な任務に対応できる意味から上述の艦種記号になっています。

 また艦名についても注目です。これまで護衛艦には、タイプごとに旧国名、天象・気象、山岳、河川などから命名されました。一方、掃海艦艇の場合は離島名がもとになっており、選定基準が異なります。ちなみに発足当初、海上自衛隊はパトロールフリゲート、いわゆる小型の警備艦を保有していましたが、それらには植物名(「くす」など)が付けられていました。

 これまでの護衛艦の命名基準で艦名が決まるのか、はたまた全く新しい艦種のため、新基準が作られ命名されるのか、11月の進水式まで興味はつきません。

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 このほかにも2020年は、そうりゅう型潜水艦の後継にあたる新型潜水艦の1番艦が進水予定です。はっきりとした時期はまだ不明ですが、夏以降になると見られます。