クルマ離れが叫ばれるこの時代に、カーライフの楽しさを知ってもらわんとするこの企画!
自動車を得意とするベテランライター・サトータケシが、クルマ担当の編集部員船山に、わかりやすくクルマの魅力を解説する!
今回のテーマは、「とにかく楽ちんなクルマを教えて!」
船山:こないだ宇都宮の実家に帰ったら、親がクルマを買い替える相談をしていたんですよ。
サトー:へぇ、どんなクルマに?
船山:運転が楽なクルマにしようって話で、親もいい歳だから、なるほどなと思いました。
サトー:それ、年齢の問題じゃないと思うな。還暦過ぎても元気にスポーツカーに乗っている人もいるし、反対にふなっしー(註:船山は編集部の一部でこう呼ばれる)の世代でも楽ちんがいいって人もいるわけでしょ。
船山:あ、まさに僕がそれです!クルマに限らず、楽ちんが好き!
サトー:それって決して悪いことじゃないと思うよ。ガツガツせずに、リラックスして快適に生きていこうってことだから。
船山:きれいめシルエットのスウェットパンツを履いている人や、髪をカチッと決めないでキャップを被っている人とか、楽ちんに生きている感じがしますね。クルマもそんな感じでコンフォタブルに乗れるといいんですが。
【CITROEN C5 AIRCROSS SUV】ちょっと浮遊感のある乗り心地はクセになる。「デザインも乗った感じもおもしろい」と、最近の
シトロエンはクルマ好きから好評。なかでもシトロエン初のSUVとなるこのモデルは、このブランドらしいしっとりとした乗り心地で、マニアから入門者まで納得させる。¥4,319,000〜
サトー:クルマの場合は楽ちんの定義がいろいろあるよね。たとえば乗り心地がいいクルマは楽だね。
船山:どんなクルマがあります?
サトー:シトロエンって昔から乗り心地が評価されてきたけれど、いまのC5エアクロスSUVってのもいい。凝った足まわりの仕組みを採用して、ふんわりとした乗り心地になっている。
船山:見た目も個性的で素敵ですね。あと、静かなクルマって楽ちんな感じがするんですが。
サトー:そうそう、特にEV(電気自動車)は静かなうえに振動もないから、長い時間乗っていても疲れないんだよね。
様々なメーカーから発表された新作SUV。ちょうどいいサイズでおすすめは?
船山:そういえば最近のニュースを見ると、いろんなメーカーがEVを発表していますよね。
サトー:ポルシェもジャガーも出したよね。メルセデス・ベンツもEQCってやつを発表した。
【Mercedes-Benz EQC】メルセデス・ベンツらしい快適さとEVの静かさとスムーズさが合体して最強。¥10,800,000〜
船山:おっ、メルセデス・ベンツのEVはSUVなんですね。
サトー:EVって床下にバッテリーを積むから、車高の高いSUVと相性がいいんだね。エンジンってのは、ある程度、回転を上げてから力が出る性格なんだけど、EVは電気が流れた瞬間に最大の力を発揮できる。だから運転しやすいという意味でも楽ちんなんだ。
船山:なるほど、EVってエコカーだと思っていましたが、ラクカーでもあるわけですね。
サトー:SUVって話だと、ちょっと目線が高い方が運転が楽ちんだという意見も多い。
船山:それ、ちょっとわかります。遠くまで見渡すことができるし、渋滞にハマっても閉塞感が少ないからイライラしませんね。
サトー:ただ、あんまりデカ過ぎると、駐車場や狭い道でのすれ違いで疲れちゃうから、ほどほどのサイズのSUVがいいよね。
船山:ちょうどいいサイズのSUVでおすすめはありますか?
サトー:間もなく日本にも入ってくる、フォルクスワーゲンのTクロスなんていいと思うよ。フォルクスワーゲンのポロっていうコンパクトカーがベースになっていて、扱いやすいサイズとSUVの長所がイイ感じで合体している。
【Volkswagen T-Cross】小型車とSUVの“いいとこ取り”が成功。間もなくニッポン上陸。価格未発表
船山:これは人気が出そうですね。
サトー:間違いなく売れると思う。
船山:ただ、楽ちんっていうことを追求していくと、最終的には運転をしないというところに行き着くような気がするんですが。
サトー:運転しないってのには、いまのところふたつの方法があるね。ひとつは、自動運転。
船山:この連載でも日産のスカイラインを取り上げましたね。
サトー:スカイライン以外でも、たとえばBMWの各モデルがハンズオフ、つまりハンドルから手を放せる機能が付いている。いまのところ、日産もBMWも高速道路限定だけどね。
船山:ハンドルから手を放せる日がついに来たんですね。
寝ている間に目的地に到着するクルマ、ショーファードリブンとは?
サトー:日産はカーナビの地図に従って走る方式、BMWは前の車に付いて行く方式と、違いはあるんだけど、この分野は日進月歩で進化しているね。
船山:寝ている間に宇都宮の実家に到着、なんていう時代が近づいているんですね。
サトー:寝ている間に実家に到着するクルマがまだあって、後席に座るショーファードリブン。ショーファーは運転手さんのことね。
船山:BMWなら、どのモデルがショーファードリブンですか?
サトー:7シリーズだね。
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船山:う〜ん……、ってことは、BMW7シリーズで高速道路を走ると、運転手さんはハンドルから手を放して運転していないってことですよね? その時、運転をしていない運転手さんを、何とお呼びすればいいのでしょうか?
サトー:深い疑問のようでもあり、しょうもない質問のようでもあり……、いずれにせよ7シリーズはかなり高価だし、ふなっしーが運転手付きのクルマに乗るのは遠い先の話だから、もうちょい身の丈に合った話をしよう。
船山:では、僕の身の丈に合った楽ちんなクルマとは?
サトー:やっぱり、運転がしやすいコンパクトなサイズで、しかも乗り心地がよくて、静かなクルマがいいと思うよ。もうすぐホンダから新しいフィットが出るんだけど、これなんかすごく前評判が高い。それとトヨタのヤリス(かつてのヴィッツ)も楽しみ。どちらもまだ値段は発表されていないけれど、そんなに高くはないはず。
【サトー’s RECOMMEND】HONDA FIT。2019年秋の東京モーターショーで、ホンダは4代目となる新型フィットを発表。コンパクトだが中は広いというフィットの伝統を踏襲、「用の美」を意識した内外装のデザインには上質さが感じられる。価格未発表
船山:無理に背伸びせず、けれどもリラックスして快適に暮らしたいっていう需要はかなりあるので、こんなクルマがいいかもですね。
〜サトータケシ今回の教訓!〜
楽なクルマは今のトレンド。各車の特徴を正しく知って賢く選べ!