大排気量車の魅力はトルクの太さ!

 世の中はコンパクトカーへのシフトが進み、SUVだって小さめが人気だ。もちろんエンジンもダウンサイジングが流行りで、昔ならフツーだった2リッターでも大きいと感じることがあったりするほど。大排気量車は数が少なくなっているし、肩身が狭い気もするが、特有の魅力があるのもまた事実だ。

 もともといわゆるガイシャと言われていた時代、大きいから偉いというのがあって、それはボディサイズだけでなく、エンジンにも言えた。お金持ちのものというのもあって、それは価格が単純に高いからだけでなく、税金も目玉が飛び出るほど高かったからだ。

 今でも安くはなくて、昔から大排気量の代名詞であるアメ車で、キャデラックのエスカレードやシボレーのカマロは6リッター超えだが、自動車税は年間11万円。加えて自動車保険も高くなるし、燃費もヒト桁は当たり前(公式サイトでは公表していないこと多々あり)。これはアメ車に限ったことではなくて、すべての大排気量車に言えることで、”大きなエンジンのクルマ”は確かに今でもお金持ちしか乗れない乗り物だ。

 でも、なにごともお金や見栄だけで成り立っているわけでないのも事実。大排気量車ならではの魅力はある。その魅力はなんといっても野太いトルクだ。シボレー、キャデラックに積まれる6.2リッターV8のトルクはなんと約64kg-m。軽と比べるのは極端すぎるが、あちらはターボでも10kg-mぐらいである。

グッと押し出す感覚は大排気量ならでは

 トルクが太いと発進時に回さなくてもいいので、すっと前に出られる。その後の加速も同様だし、巡航時はゆるゆると低回転を保てるのでラク。そしていざというときアクセルを踏めば、太いトルクを活かしてドンと背中を押してくれる。アメ車でいうと、往年のV8のイメージだ。

 ターボのような鋭いパンチ力というよりも、全身に力を込めてグッと押し出すような感覚は大排気量ならでは。小排気量だと、トルクは細いので力強く押すような感じではない。高回転まで回して力を出していく感じになるのは仕方がなく、ゆったり感はなくなってしまう。

 6リッター超えのアメ車は極端な例かもしれないが、日本車でもたとえばトヨタのアルファード、ヴェルファイアの人気を支えるのは3.5リッターV6で、オーナーに聞くと「力があるからストレスがなくていいし、いざとなると速い」という声がよく返ってくる。これは36.8kg-mというかなり太いトルクのおかげ。2.5リッターの直4は3分の2となる24.0kg-mなので、その大きさがわかるだろう。

 排気量が大きいというのは、燃費、環境性能において絶対的に不利な部分もあるので、今後は減っていくのは確実。今のうちに楽しんでおくものなのかもしれない。維持費はバカ高だが……。