(台北中央社)人間国宝の漆芸家、王清霜氏一家の三代展「霜賢峻偉−人間国宝王清霜家族漆芸特展」が台北市で開催されている。日本統治時代に生まれ、今も現役で創作活動を続ける清霜氏の新作に加え、技術を受け継いだ息子や孫たちの作品計48点が展示される。

台湾に漆工技術が伝えられたのは日本統治時代。1922(大正11)年生まれの清霜氏は、16歳で台中工芸専修学校に入学して漆工を学び、19歳で東京美術学校(現・東京芸術大学)に留学。日本では画家の和田三造や漆芸家の河面冬山らに師事した。台湾に戻ってからは漆芸の発展と人材の育成に力を注ぎ、2009年に台湾の重要無形文化財(漆芸)保有者に認定された。

二代目の賢民氏は漆器の装飾技法の一つである沈金、賢志氏は蒔絵の技術保存者。賢志氏の息子、峻偉氏も漆芸家となり、伝統の中にも新しさを追求した作品は、総統府や外交部(外務省)が台湾の友好国に贈る贈り物の一つにも選ばれている。

10日に開かれた開幕記者会見には鄭麗君文化部長(文化相)が出席。王家一族の歴史は台湾漆芸の歴史でもあると述べ、三代百年にわたる技能の伝承に敬意を表した。

台北当代工芸設計分館で2020年4月24日まで。

(鄭景ブン/編集:塚越西穂)