長野県は6日、世界的な気候変動への危機感と地球温暖化対策への決意を示す「気候非常事態宣言」を都道府県として初めて発表した。2050年までに県内の二酸化炭素(CO2)排出量を実質的にゼロにすることを目指す。

 県議会が同日、台風19号被害やスペインでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)開催などを背景に、宣言を出すよう県に求める決議を全会一致で採択。これを受けて県が宣言を発表した。宣言では、国内で頻発する気象災害と世界的な異常気象、気候変動に触れ、「この非常事態を座視すれば、未来を担う世代に持続可能な社会を引き継ぐことはできない」と強い危機感を示した。

 県は、太陽光発電や小水力発電といった再生可能エネルギーの拡大、省エネ対策の強化などで、CO2排出量の実質ゼロを実現したい考え。阿部守一知事は会見で「広く県民一丸となって気候変動対策を進めていきたい」と強調した。インターネット中継で阿部知事と会談した小泉進次郎環境相は「台風で大きな被害を受けた長野県が宣言したことは象徴的。来週参加するCOP25で発信したい」とエールを送った。

 宣言は、地球温暖化対策を加速させようと欧米諸国を中心に広がっている。欧州連合(EU)の欧州議会が11月に採択した他、国内では長崎県壱岐市、長野県白馬村などが宣言している。