美容医療を専門とする形成外科医で構成される国際美容外科学会(International Society of Aesthetic Plastic Surgery、略称:ISAPS)は3日、2018年に実施された美容医療施術に関する国際年次調査の結果報告書を公表した。

今回の調査結果には、昨年11月公表の2017年調査結果では年間合計施術数が世界第3位になっていた日本が含まれていない。報告書ではその理由が明らかにされていないが、日本美容外科学会(JSAPS)がこの10月に公表した2018年分の「第2回全国美容医療実態調査報告書」によると、年間施術数の合計および「外科的」「非外科的」施術数はそれぞれ以下の通りだ。

●「2018年全施術合計」:1,707,363件(前年は1,603,318件)
 (ISAPS日本語版プレスリリース内『美容処置件数』に相当)
 ・「外科的手術」271,455件(282,027件)
  (同『美容形成外科的処置』)
 ・「非外科的施術」1,435,908件(1,334,861件)
  (同『非侵襲性処置』)

これらの数値を今回のISAPS国際調査結果と照らし合わせると、日本は2018年も前年と同様、合計施術数ではアメリカ、ブラジルに次いで世界第3位。その内訳として、外科的施術数では世界第7位と低い一方、非外科的施術数ではアメリカに次いで第2位だったことになる。非外科的施術とは、ボツリヌス菌毒素やヒアルロン酸を使った注入治療(ただし豊胸のための注入治療を除く)やシミ取りレーザー治療など、いわゆる「プチ整形」が主体だ。

大まかな傾向としては、専門家のこれまでの指摘通り、日本の美容医療が他国に比べてプチ整形寄りという状況は変わらないようだ。

【調査結果概要】
(ISAPS日本語版プレスリリースより)
https://www.isaps.org/wp-content/uploads/2019/12/ISAPS-Global-Survey-2018-Press-Release-Japanese.pdf

▽2018年国際調査の主要点

・充填剤(フィラー)などの非侵襲性処置は10.4%増え、0.6%とわずかに減少した美容手術をかなり上回った。

・インプラントによる豊胸術は最も多い手術の中でも1位に上昇した。これは前年比で6.1%、2014年に比べて27.6%の増加である。

・手術で最も増えたのは脂肪吸引法と腹部形成術で、いずれも前年比9%超の増加だった。

・ボツリヌス毒素療法は前年比17.4%増で最大の伸び、ヒアルロン酸フィラー療法が11.6%増で続いた。

▽美容処置件数の上位10カ国

トップの2カ国(米国とブラジル)が世界中で実施された美容処置全体の28.4%を占め、他の8カ国(メキシコ、ドイツ、インド、イタリア、アルゼンチン、コロンビア、オーストラリア、タイ)が続いた。ブラジルは美容形成外科的処置で世界の1位に上昇、米国は非外科的処置で世界のトップである。

▽性別の相違

美容処置を受ける女性は引き続き男性より多く、2033万465件で全体の87.4%。男性は293万5909件で、12.6%だった。女性に最も人気のある外科的処置と非外科的処置は、それぞれ豊胸術の184万1098件とボツリヌス毒素療法の534万4764件である。男性で多い外科的処置と非外科的処置は、それぞれ女性化乳房の26万9720件、ボツリヌス毒素療法の75万2752件。

【参考】

国際美容外科学会(ISAPS):ISAPS Global Statistics 2018 Global Statistics
https://www.isaps.org/medical-professionals/isaps-global-statistics/

日本美容外科学会(JSAPS):第2回全国美容医療実態調査報告書
https://www.jsaps.com/
(『学会からのお知らせ』内)

医師・専門家が監修「Aging Style」