TNGAなどクルマのプラットフォーム共通化がひとつのきっかけ

 ホンダ系のケーヒン、ショーワ、日信工業が日立オートモーティブシステムズと合併。また、トヨタ系のアイシン精機とアイシン・エイ・ダブリゥが経営統合など、2019年後半になり自動車部品業界での再編が加速している。

 同じ部品を使うことでコスト削減になるのは当然なのだが、どうしてこのタイミングで部品製造企業そのもの同士が融合するまでの、大きな変化が起こっているのだろうか? その背景にはさまざまな要因がある。

 まずは、プラットフォームの共通化だ。最近、クルマの記事のなかでよく目にする、この言葉。一般的にプラットフォームというと、電車の駅を思い出すが、クルマの場合は車体を指す。代表的な例は、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクシャー)。このアーキテクチャーは基本骨格という意味合いがあるが、トヨタ車を取材していると「TNGAはトヨタの新しいプラットフォーム」(トヨタ関係者)という言い回しになる。

 TNGAには「プリウス」や「カーロラ」向けのGA-C、「カムリ」向けのGA-K、「クラウン」用のGA-L、そして2020年発売の「ヤリス」がGA-Bと、クルマの大きさやFFやFRなどの駆動方式に応じて新規設計をしている。もちろん、これら4つのプラットフォームでも共通する部分が多く、これによりトヨタ全体として大幅なコスト削減を行うことができる。

 プラットフォームというクルマの土台の共通化が進めば、そこに搭載されるパワーユニットでも共通化が進むのは当然だ。また、サスペンションやボディパーツでも、部品の共通化が進んでいる。

 また、モジュール化という設計思想がここに絡んでくる。自動車メーカーの最終組み付けラインで、部品単体ではなく複数の部品を事前に組みあせた部位(モジュール)としてラインで装着していくことで、製造工程を減らしコスト削減につながる。

 このしたプラットフォーム共通化が進むと、クルマの個性は「デザイン最優先」となる。走りについては、サスペンションセッティングである程度の振れ幅を持たせることができるが、やはりプラットフォームというクルマの土台が同じだと、走りのテイストは共通した部分を強く感じる。

電動化、自動運転、コネクティビティが共通化を加速させる

 もうひとつ、部品共通化が加速している大きな要因が、次世代技術の採用だ。EVなど電動化については、日系ではトヨタ、ダイハツ、マツダ、スバル、スズキでのトヨタアライアンスで共通プラットフォームと電動コンポーネンツ(モーター、インバータ、充電器など)を現在開発中だ。こうなってくると、クルマの差別化は「デザインのみ」の方向にさらに近づく。

 さらに、自動運転のレベルが上がると、メーカーによる走り味の違い、という考え方自体が通用しなくなる時代が来るかもしれない。

 車内での過ごし方でも、コネクティビティ技術が発展するなかで、スマホ(ないしは新種のポータブル端末)優先の生活がさらに浸透すると、インテリア部品の共通化が進む可能性もある。

 これからの時代、自動車メーカーそれぞれが商品の個性を明確に打ち出すことが益々難しくなっていくことは間違いなさそうだ。