●アクティブノイズキャンセリングに対応したAirPods Pro
アップルが発売した最新の完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」を、皆さんはもう購入しましたか?

大きな発表会もなく、いつの間にか発売されていた本機ですが、機能面で従来機種から大きく進化しています。

最も大きな進化はアクティブノイズキャンセリング機能の搭載です。
外部の音を集音し、その音と逆の位相を持つ音をぶつけることで「音を打ち消す」というのがノイズキャンセリングの基本技術です。
AirPods Proでは、密閉形状のカナル型イヤホンにこの機能を搭載し、街の雑踏の中でも、まるで静かな図書館か美術館にいるような気分で音楽を楽しめるのです。


外部の音だけでなく、耳の中の音まで集音して打ち消す


このように、従来のAirPodsシリーズから大幅に進化したAirPods Proですが、
細かな操作設定や自分の耳に最適化させるテストモードがあることを知っている人は、意外と少ないようです。


●ヒミツのカギはBluetooth接続画面にあり!
AirPods Proの設定画面やテストモードは、iPhone(iOS)の設定画面上の「サウンドと触覚」や「一般」などのカテゴリーにはありません。

なんと「Bluetooth」の項目にあります。
設定の仕方は、
1.AirPods ProをiPhoneなどに接続した状態(←ここが重要!)にします。
2.接続した状態で「設定」から「Bluetooth」を選択します。
3.「接続済み」と書かれている右側のインフォメーションアイコンをタップします。
すると、AirPods Proの設定項目が現れます。

AirPods Proを接続していないと「このデバイスの登録を解除」しか表示されないため、気がつかなかった人が多いのではないでしょうか。


AirPods Proを接続した状態で矢印のアイコンをタップすると…




設定画面では、
・接続解除
・デバイス登録の解除
・ノイズコントロール設定
・イヤーチップ装着状態テスト
・自動耳検出設定
・マイク設定
これらが行なえます。

例えばノイズコントロールには、
・ノイズキャンセリング(ノイズキャンセリング機能ON)
・オフ(ノイズキャンセリング機能OFF)
・外部音取り込み
この3つのモードがあります。

初期設定では、AirPods Pro本体のステム部(棒状の部分)を長押しすることで、ノイズキャンセリングと外部音取り込みの2つのモードを切り替えられるようになっています。
しかし、ここで設定を追加・変更することで、ノイズキャンセリング機能も外部音取り込みもOFFにすることができます。


モード切り替え以外にも、Siriを呼び出す操作(ステム部を短く押す)なども追加・変更できる



●敢えてノイズキャンセリングを「しない」という選択
この「オフ」という設定は、一見意味がないように思われますが、実は非常に有効な使いみちがあります。

それは、街を歩きながら音楽を楽しんだり、駅のホームで電車を待っていたりする場合です。

AirPods Proのアクティブノイズキャンセリング機能は非常に強力で、街の雑踏や電車の騒音などを見事に消してくれます。
しかしその効果が強すぎるため、後ろから近づいてくる自動車の音や、駅のホームの案内アナウンスが聞こえない場合があり、ときには利用者にとって非常に危険な状況を生み出してしまいます。

こうした場合、一般的な方法では、イヤホンを外しているときとほとんど変わらない感覚で外部の音が聞こえる「外部音取り込み」モードを利用しますが、
このモードでは街の雑踏などがそのままの音量で聞こえてくるため、今度は音楽が聴き取りづらくなるというデメリットが発生します。

そこで「オフ」モードです。
ノイズキャンセリングも外部音取り込みもしないこのモードでは、一般的なカナル型イヤホンをしている状態とほぼ同じ状況になります。
そのため、外部の音はこもったような音になるものの、打ち消されることなくしっかりと聞こえるようになります。
さらに音楽も聴こえるため、音楽を楽しみつつ周囲の音にも気を配ることができるというわけです。

・1人で集中したいときや電車での移動中は「ノイズキャンセリング」モード
・コンビニでの買い物や人と会話をする際は「外部音取り込み」モード
・電車を待っているときや街を歩きながらのリスニングには「オフ」モード

このような使い分けが自由自在にできるようになると、とても快適なAirPods Pro生活になるでしょう。


●ノイズキャンセリング機能を最適化する「イヤーチップ装着状態テスト」
一般的なカナル型イヤホンでは、イヤーチップの大きさが合っているのかよく分からず、装着感の良し悪しを感覚だけで判断するしかありません。
しかしAirPods Proでは、「イヤーチップ装着状態テスト」の項目を使って、イヤーチップが自分の耳に合っているのか客観的に検査することができます。


ノイズキャンセリング機能や外部音取り込み機能を最適化するためにも一度はテストしておこう


設定画面の「イヤーチップ装着状態テスト」をタップするとテストが始まります。
AirPods Proを装着し、画面の指示に従って進めていくと、ほんの数秒で完了します。

イヤーチップはAirPods Pro本体にあらかじめMサイズが装着された状態で出荷されていますが、
SサイズとLサイズが本体に同梱されていますので、もし装着状態に問題がある場合はサイズを変えてみましょう。


本体に同梱されているイヤーチップ



耳の形状によっては左右でサイズが違ってくることもある


●AirPods Proをより快適に使うために
このほか、AirPods Proを耳に装着した際に、自動で音楽が流れ始める「自動耳検出」機能のON/OFFや、AirPods Proに内蔵されたマイクを使用する側を選択できるようになるなど、設定画面には意外と重要な項目が並んでいます。

AirPods Proを使っていて「ちょっと使いづらいな」、「もっと使いやすくならないかな」と感じた時は、ぜひこの設定画面を確認してみて下さい。


執筆 秋吉 健