熊本には、猫が番台をつとめる温泉があるらしい――。


まるまってすやすや(Kawaiさんのツイートより。編集部で加工)

こちらは、ツイッターユーザーのKawai(@MD90H)さんが2019年11月17日と19日に投稿した写真。

写っているのは、熊本県人吉市にある温泉施設「新温泉(しんおんせん)」の番台だ。中の座椅子では猫たちが気持ちよさそうに眠っている。

左の写真では500円玉、右の写真には「おつり」とかかれた札と100円玉2枚が番台に置かれているのがわかるだろうか。

Kawaiさんは、温泉巡りの旅の途中、「新温泉」に立ち寄った。

番台には猫しかおらず、料金がわからなかったため、とりあえず500円玉を置いて入浴したという。他に客もおらず、「渋すぎる」温泉をしばし独り占めしたそうだ。


渋すぎる温泉(Kawaiさんのツイートより)

そして、温泉からあがるとKawaiさんが置いた500円のかわりに置かれていたのが「おつり」の札と200円だった。

まるで、猫たちがおつりを用意してくれたような、ちょっと不思議な体験だ。

ツイートを見た人たちも、

「ニャン台がいる...」
「絶対にニャン台たちが準備してますよね、このおつり。喋らなくて良いように『おつり』の札まであるし」
「優しいお風呂屋妖怪のお店っぽい」

と、どこかファンタジーっぽいエピソードにワクワクした様子。

Jタウンネット編集部が20日、Kawaiさんに人間の番台さんには一度も会わなかったかと尋ねると、「出るまでお会いできなかったです...」とのこと。

まさかとは思うが、本当に猫たちのお風呂屋さんなのだろうか。

猫たちは気ままに番台に座る

20日、「新温泉」に電話をかけると、オーナーの永見さんが取材に答えてくれた。もちろん人間だ。普段番台に座っているのは、永見さんだという。

Kawaiさんのツイートを見て電話したことを伝えると、

「昼間はパラッとしかお客さんが見えないし、自宅がすぐ前にあるもんですから、ちょっと洗濯物を取り込んだりですとか、行ったり来たりしているんです。
ちょうど外で草取りをしていて、銭湯の方に来たら500円が置いてあったので、おつりを置いて、お札を添えて、また外に行っていたら、お客さんが帰られてたことがあったので、多分その方じゃないかなと思います」

とのこと。おつりを用意してくれたのは、猫たちではなかったようだ。

ちなみにこの猫たち、近所の人がエサをあげて居ついている猫...つまり、地域猫の子どものようだ。夏が終わり、涼しくなってきたころから番台にやってくるようになったという。

「(猫たちは)6か月くらいなんですけど、手に乗るくらい小さいころから見ているので、もう(人に)慣れていて、番台の座布団のところが暖かくて居心地がいいので、来るようになったんです。
ずっといるわけじゃなくて、猫だから気ままに、居たりいなかったりします」

自宅と温泉を行ったり来たりしている永見さんと、番台に居たり居なかったりする猫たち。

Kawaiさんのちょっと不思議な体験は、偶然の賜物だったようだ。