株価は堅調だが、そんなときこそ波乱があったりするもの。個人投資家が注意すべきポイントは何か(写真:Kazpon/PIXTA)

NYダウ平均株価は、連日のように過去最高値を更新し、まさに青天井状態。11月15日にはついに2万8000ドル台に乗せた。日経平均株価も年初来高値圏だ。高値警戒感も聞こえてくるなかで、カリスマ投資家の内田衛氏は年末にかけてどんな戦略で臨もうとしているのか。早速「株日記」で見てみよう。

11月7日は1年でいちばん下がりやすい日だが…

【11月5日火曜日】NYダウは、114ドル高の2万7462ドルと7月15日以来の史上最高値を更新。ナスダックとS&P500も最高値更新。アメリカ国債10年物金利が上昇している。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)日経225先物は、2万3130円と2万3000円台回復。


この連載の一覧はコチラ

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)系クレジット会社のジャックス(8584)は、71円高(2.93%)の2490円と反発。日経平均は、401円高の2万3251円と1年1カ月ぶり高値。

【11月6日水曜日】日経225先物は、30円高の2万3350円、NYダウは、30ドル高の2万7492ドル。携帯のソフトバンク(9434)は、昨日引け後、好決算を発表したが、6.5円高の1505.5円と反応薄い。日経平均は、51円高の2万3303円と続伸。

19時43分、日経225プットオプション2万2875円(11月限)を10円で10枚(10万円)買い、9円で10枚買い、8円で10枚買った(トータル27万円)。しかも、取引最終日は、明日の15時15分まで。買った理由は、11月7日は、過去の経験則で1年のうちでいちばん下がりやすい日だったから。勝率20.8%(5勝19敗)と日別勝率ワースト1位。

ちょっと解説をすると、プットオプション(2万2875円で売れる権利)を買ったということで、今日の日経平均の終値2万3303円から8日の寄り付きまでに2万2875円以下(428円以上下がる)にならないと、価値はゼロになる商品。

【11月7日木曜日】日経225先物は、20円安の2万3280円、NYダウは、0.07ドル高の2万7492ドル。午前1時45分、9円で買った10枚を10円で売り返済し、9572円の利益確定。午前3時34分、残りの20枚を10円で売り、1万9144円の利益確定。

結構粘ってみたけれど、値動きが止まってしまい、残り時間が少なくなってきたことで、このままではゼロになる可能性が高いと判断して全部手仕舞いした。5時30分、オプションは1円安の9円。日経平均は、26円高の2万3330円と3日続伸。

日経平均は、1日終始小動きだったが、1年中でいちばん下げやすい日に小反発したということは、結構相場は強いのではないか? 15時15分、早朝に10円で手仕舞いしたプットオプションは、4円で引けた。結果として、たいして儲からなかったけど、手仕舞いして正解だった。

携帯のソフトバンクは、自己株式の取得状況に関するお知らせを発表した。10月では、1272万3300株取得し、8月6日からの累計は、3319万3000株となり、4600万株の上限まであと1280万7000株となった。このペースで行くと、今月中に上限に達する可能性が高い。自己株買い終了の発表があると株価は下がる可能性が高いので、その前に売っておきたいところだ。

メルカリが赤字幅拡大を嫌気、大幅安に

【11月8日金曜日】日経225先物は、160円高の2万3520円、NYダウは、182ドル高の2万7674ドル。ジャックスが、昨日の好決算を受けて115円高の2626円の年初来高値を更新したが、終値では、50円高の2561円と伸び悩む。メルカリ(4385)が478円安(18.85%)の2057円と大幅安。昨日発表した、2020年6月期第1四半期決算で、売り上げは37.9%増加していたが、赤字幅が拡大しているのが嫌気されたようだ。

メルカリのフリマ(フリーマーケット)は、ヤフオク(ヤフーオークション)のフリマ出品やPayPayフリマと競合(販売手数料10%は同じ)するし、スマホ決済のPayPayとメルペイでも競合しており、かなり厳しいのではないかと思う。日経平均は、61円高の2万3391円と4日続伸と強い。

【11月9日土曜日】日経225先物は、70円高の2万3450円、NYダウは、6ドル高の2万7681ドル。1ドルは、109.21円、1ユーロは、120.36円、1ポンドは、139.54円。

【11月11日月曜日】ジャックスは、一時89円高の2650円をつけ、年初来高値更新。オリエントコーポレーション(8585)は、4円高の159円と高値引け。日経平均は、60円安の2万3331円と5日ぶり反落。しかし、TOPIXは、1.26高の1704.03と反発。

【11月12日火曜日】日経225先物は、50円高の2万3350円、NYダウは、10ドル高の2万7691ドルと3日連続最高値更新。優待目的銘柄のヤマダ電機(9831)は、14円高の580円と年初来高値更新した。

3月15日に577円の高値をつけていたが、超えてきた。このときは恐らく3月期末の配当と優待の権利取りの買いで上昇したと思われるが、今回は、11月7日に発表となった好決算が買い材料となっているようだ。8月6日には年初来安値440円をつけている。日経平均は、188円高の2万3520円と非常に強い展開。

【11月13日水曜日】日経225先物は、110円安の2万3440円、NYダウは、変わらずの2万7691ドル。NYダウが前日比変わらずとなったのは、5年7カ月ぶり。一瞬、休場だったのかと思ってしまった。ビックカメラ(3048)グループの日本BS放送(9414)の株主総会出席のため大手町の日経ホールへ行く。

9時50分着、出席者は150人程度。売上高は、0.9%増加したが、親会社に帰属する当期純利益は、11億5800万円と約30%減益となった。その理由は、番組の購入費用と制作費の増加が原因だそうだ。11時35分終了。お土産は、卓上カレンダーとBS11の番組表。今日の終値は、3円安の1082円。日経平均は、200円安の2万3319円と昨日引け後の急騰分188円を消す展開。

ソフトバンクを保有11カ月で利益確定売りに成功

【11月14日木曜日】日経225先物は、10円高の2万3310円、NYダウは、92ドル高の2万7783ドルと史上最高値更新。ヤフーとLINE(3938)が経営統合へ、ネット国内首位にと報道。

Zホールディングス(4689)が買い気配スタート。9時18分、56円高の440円で寄り付く。終値は、65円高(16.93%)の449円と大幅高。一方、携帯のソフトバンク(9434)も19円高の1500円で寄り付く。昨年の12月の売り出し価格1500円で購入した3200株を1516円で2900株、1512円で300株売却した。

売却益は約4万5000円とたいしたことはないが、受取配当80円(3月の期末配当37.5円と9月の中間配当42.5円)は大きい。保有期間は11カ月で株価は売り出し価格の1500円を下回って推移していた時期が長かったけど、利益確定できてよかった。

好業績、高配当利回り株なので売らなくてもよかったが、自己株買いの終了が迫ってきているので、自己株買いが発表となったときに書いた8月15日にアップした記事「下落相場でもしっかり儲かる銘柄の選び方」に、自己株買い終了前に1500円以上だったら1度売ると書いたので、そのとおり実行した。今日の終値は、28円高の1509円。日経平均は、178円安の2万3141円。

【11月15日金曜日】日経225先物は、変わらずの2万3120円、NYダウは、1ドル安の2万7781ドル。優待目的保有のKADOKAWA(9468)は、昨日の好決算と増配(3月期末20円から30円)を発表し92円高(6.13%)の1591円。ジャックスは、111円高(4.26%)の2716円と大幅高で年初来高値更新。

10月18日引け後に、東海東京調査センターが格上げと目標株価を2700円(従来2400円)と発表したのだが、あっさりと2700円を超えてきた。個人的な次の株価目標としては、配当利回りが3%(年間配当90円)となる3000円かな。日経平均は、161円高の2万3303円と3日ぶり反発。

NYダウは10年8カ月で2万1500ドルも上昇

【11月16日土曜日】日経225先物は、20円高の2万3360円、NYダウは、222ドル高の2万8004ドル。1ドル=108.78円、1ユーロ=120.21円、1ポンド=140.36円。為替水準は、2週間前と比べてほとんど動いていないが、NYダウは、ついに2万8000ドル台と史上最高値を更新してきた。青天井といったところだろうか。

この上昇相場の起点となっているのは、リーマンショック(2008年9月15日)後の2009年3月6日につけた安値6469ドル。10年8カ月でなんと2万1500ドルも上昇してきているのだ。これからは、大相場での最後の上昇局面となってしまう可能性がある。

例えば、平成元(1989)年の12月の大納会3万8915円への大天井をつけにいくイメージだ。この局面での投資戦略は、いつ大暴落にあっても生き残れるように、余裕資金でレバレッジはかけずに身の丈にあった投資をしていきたい。