ボクシングシーン.com」最新版PFP1位に選出、カネロ&ロマチェンコ抑える

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム決勝でノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちを収めたWBAスーパー&IBF王者の井上尚弥(大橋)。5階級制覇王者との名勝負で名声を高める中、米ボクシング専門メディアは「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」最新版を発表し、井上を堂々の1位に選出。ついに本場のメディアがボクシング界最強王者として認めた。

 井上にまたしても偉業だ。米国のボクシング専門メディア「ボクシングシーン.com」は最新版のPFPを発表。1位に初選出されたのは「Naoya Inoue」だった。PFPとは全17階級あるボクサーの実力を比較し、体重差がなかった場合の最強選手をランキング化したもの。井上はボクシング界最強と認められたことになる。

 寸評では「イノウエはプロデビュー以来、センセーショナルであり続けた。そして、バンタム級ではWBSSを制覇し、全盛期に差し掛かったように見える」と評価した上で19戦全勝王者をPFP1位に選考理由を挙げている。

「彼はおそらく、すでにボクシング界で最もダイナミックかつ、最も完璧な攻撃力の持ち主だ。未来の殿堂入りファイター、ノニト・ドネアとの死闘を経て、我々は彼が逆襲を受けた際、何ができるかを目の当たりにした。イノウエに敗れながら、その後に108ポンド(ライトフライ級)を統一したリョウイチ・タグチが彼に試練を突きつけた唯一のファイターだった」

 13年日本ライトフライ級タイトルマッチで判定勝ちした田口良一(ワタナベ)戦が従来の最大の試練だったと指摘し、ドネア戦は窮地で強さを見せたことを称賛した。記事では右目の上をカットし、眼窩底骨折、鼻骨骨折を負いながら、試合の大半をコントロール。11回でダウンを奪ったことを挙げ、「試合でも3、4ラウンドを失ったに過ぎなかった」と終盤の強さを特筆している。

2020年に期待「まだ我々は最高のイノウエを目撃していないかもしれない」

 一方で、WBSSを舞台にしたことに伴う対戦相手のクオリティの高さも評価対象になったとしている。「これがイノウエにとっては知名度の高いファイター、あるいは、118ポンド(バンタム級)のトップ5相手からの4連勝となった。そして、4団体のタイトルの半分を保持しているのだ」と紹介した。

 井上が倒してきたジェイミー・マクドネル(英国)、フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、そしてドネアはいずれも世界王者経験者。さらに、寸評では今後の対戦候補として、WBC王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)、WBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)、前WBC王者ルイス・ネリ(メキシコ)を候補に挙げている。

「ドネア戦では彼は教訓を手にした。それはまだ我々が最高のイノウエを目撃していないことを意味しているかもしれない。トップランクは対戦相手を高め続けるのか、バンタム級で彼の挑戦は終わるのか、マネーの魅力で昇格するのか? 2020年は日本の巨人にとって興味深いものになるだろう」

 米興行大手トップランクと共同プロモート契約を結んだ井上。2020年はモンスターの年になると、期待されていた。権威ある米専門誌「ザ・リング」のPFPでは世界3傑に浮上したばかり。今回はそれをさらに上回るような評価となり、モンスターの世界的な名声の高さが伺える結果となった。

【「ボクシングシーン.com」選定のPFP最新版】

1位 井上尚弥(日本)
2位 サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)
3位 ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
4位 テレンス・クロフォード(米国)
5位 アレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
6位 エロール・スペンスJr.(米国)
7位 マニー・パッキャオ(フィリピン)
8位 ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
9位 ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)
10位 ジョシュ・テイラー(英国)(THE ANSWER編集部)