2026年3月末でNTTドコモの第3世代携帯電話サービス「FOMA」が終了すると発表された。また、大手携帯電話会社の第3世代サービスについては、KDDIが2022年3月末に、SoftBankも2020年代には終了する予定であることを予告している。

現時点で終了予定がもっとも早いKDDIでも約2年半後、今回発表になったNTTドコモでもサービス終了までには約6年半と、まだ第3世代携帯電話サービスは利用できる。
そう思っている人も多いかもしれない。

しかし、実際には「そこまでは使えない」と思っておいた方が賢明だ。

今回は「なぜ、そこまでは使えないのか」について解説していく。


○アップデートされないことで利用できなくなる
フィーチャーフォンを今現在も使い続けるユーザーの多くは
・電話
・メール
これだけが満足に利用できればいいという人が多いだろう。

しかし、使い慣れていることを理由にフィーチャーフォンでもWebサービスを今でも愛用しているという人も少なくない。
このWebサービス利用について、本体のアップデートが打ち切られていることで利用できなくなる可能性が大きい。すでに10年ほど前に発売になった機種では利用できなくなっているという事実は知っておく必要がある。

現在、多くのWebサイトでは通信の改ざんなどを防ぐために暗号化通信を利用するようになっている。暗号化通信を行うには「証明書」が必要であり、さらに暗号化通信も暗号の強度を年々高めている。

実は、旧式のフィーチャーフォンでは、この証明書の有効期限が切れている、より強固な暗号化通信に対応していない、といった状況になっているのだ。



発売から間もない機種であれば、利用者も多いため「利用できなくなっては困る」と、メーカーが新しい証明書への更新や、強固な暗号化通信に対応するアップデートを行っている。

しかし現在、実際に使われているフィーチャーフォンの多くは発売からかなりの時間が経過しており、これらの機種ではアップデートが行われない。
2016年の時点で、今から10年ほど前、つまりスマートフォンが爆発的に流行する以前に発売になったフィーチャーフォンは、アップデートが行われず、多くのWebサイトが利用できない状態になっている。
それより後に発売になった機種であっても、しばらくソフトウェアのアップデートが行われていない機種がほとんどであり、今後サービス終了よりも前に、証明書の有効期限が切れる、暗号化通信の方式が変更になる、などの状況が発生すればWebサイトに繋がらないといった状況になるだろう。

また、こうしたWebに繋がらなくなる問題以外にも、何かしら動作に支障の出るような不具合が見つかった場合でも、使い続けるために必要なアップデートが行われる可能性は低いと見られりる。

つまり現在誓われているフィーチャーフォンの多くは、
「サポート切れ」や「保証切れ」が発生し、第3世代携帯電話サービスの終了よりも前に使えないものになる可能性は高いといえる。


○サービスが前倒しで終了する可能性
フィーチャーフォン向けに提供されてきた携帯電話会社のサービスも、
・新規受付終了
・サービス終了
年々このような対応が増えている。

その中には便利に使っていたサービスも含まれており、現在便利に使っていたとしても終了する可能性もある。



もちろん、携帯電話会社以外のサービスでも既に終了を予告しているものもある。
JR東日本が提供する「モバイルSuica」は2020年以降、フィーチャーフォン向けのサービスにおいて
・定期券
・オートチャージ
・クレジットカードからのチャージ
これらの機能が利用できなくなる予定だ。

第3世代携帯電話サービス終了のその日まで、電話とメールは利用できる可能性は高い。
しかしそれ以外の、付加サービスやWebサイトの月額会員サービス、アプリを利用するサービスは先立って続々と終了していくはずだ。

つまり本当に「電話とメールだけ」を使うユーザーを除けば、フィーチャーフォンを通信サービス終了まで使い続けることは難しいと言えるだろう。


○壊れたとしても修理ができない
「使えるのに、サービスが利用できない」ではなく「壊れてしまった場合」についても、直す事はできないことは知っておきたい。



例えば上記の「N-01F」は、2013年末の発売から6年が経過するフィーチャーフォンだ。
フィーチャーフォンを使い続けるユーザーには5年以上、もしかすると10年近く同じ機種を使っているという人も今では珍しくない。
しかし6年前に発売になったN-01Fですら、すでに修理受付は終了しており、壊れてしまった場合には修理して使い続けるといったことも困難だ。

どうしても使い続けたいという場合、中古で同等の機種を探してくるという方法もあるが、発売から同じだけの期間が経過しているだけに、いつ壊れてもおかしくないと考えてもいいだろう。

後継機種がない以上は、壊れてしまった場合にはその場しのぎに中古機種を選ぶか、スマートフォンへの買い換えを考えるしかないのだ。


第3世代携帯電話サービス終了はまだ先の話と、筆者の周りでもフィーチャーフォンを利用しているユーザーは「まだ数年は使える」と考えている人が多い。

しかし、実際にサービスが完全終了するよりも前に、電話やメール以外でも恩恵を授かっているサービスが利用できなくなる可能性、壊れてしまった場合の代替が入手できない可能性、これらは確実に高まることを知っておきたい。

スマートフォンに買い換えるという選択をするとしても、今から考えておけば「使えなくなった日」に焦るよりは余裕があるはずだ。


執筆 迎 悟