(写真提供:朝日新聞出版)
日本初の民間ロケットの打ち上げに成功、和牛ビジネスのプロデュースなども手がける堀江貴文氏。さまざまなイベントや、ゴルフなどの趣味に国内外を飛び回る堀江氏は、スキマ時間に触るスマホで仕事の指示を送っている。
「いかに時間を使わずに多くのものを生み出し、効率よく世の中に伝えるか」を徹底する堀江氏の「時間術」とは? 堀江氏が何よりも大切にする「時間」だけをテーマにした初の著書『時間革命』から一部を抜粋・再構成して紹介します。
自分ではなかなか気づけない、内面的な「暇」
「あまりに忙しくて、『動き回るぞ!』という気になれない」という人もいるだろう。
だが、「忙しいせいで、動くための時間がない」というのは誤解だ。そんな忙しさは単なる思い込みだし、そもそも「忙しい」と「熱中できない」の間には関係がない。
実態はむしろ逆で、心から熱中できる対象を持っていないからこそ、そのダブついた時間を「忙しいフリ」をして埋めているのである。
言ってしまえば、その人は「暇」なのだ。
なぜそうなるかと言えば、そのほうがラクだからだ。スケジュールを他人時間でいっぱいにして、「ああ、忙しい忙しい」と不満を垂れていれば、自分の人生の空虚さを忘れていられる。そうしないと心がもたないのだ。
「暇」といえば、休日に何もやることがない状態を思い浮かべる人もいるかもしれないが、ここでぼくが言っているのは「忙しさで偽装された暇」とでも呼ぶべきものだ。
この種の暇はいろいろと厄介だ。まず、自分がそういう状態に陥っていることになかなか気づけない。
目の前にはやることがたくさんあるから、忙しく仕事をしているような気分になっている。しかし内面的にはとてつもなく退屈をしており、胸の内では心がカラカラと“空転”しているのである。
こういう空回り状態が続くと、心は無理やりに「燃料」を求めて動こうとする。言ってみれば、心が「エネルギーのムダ遣い」をしたがるのである。
典型的なのは、他人からの評価を過剰に気にしたり、悪口やゴシップに熱狂したりするようなパターンだ。
頭の中に架空の他人をつくりあげて、「ひょっとすると、あの人はこう思っているのではないか……」とか「きっとこいつは、陰であんなことをしているに違いない!」などと、くだらない妄想を膨らませてしまう――よくあるパターンだ。この状態が続くと、心はどんどん消耗し、さらに貧しくなっていく。
みんな他人のことを気にしすぎだ。
この原因は「暇すぎる」ということに尽きると思う。心の底から退屈しきっているからこそ、他人の不倫やら失言やらを報じる下品な芸能ニュースに反応し、それらを消費しているのだ。
冷静に考えてほしい。他人のプライベートを詮索して喜ぶなんて、こんなにみっともないことはない。もっと楽しいことが世の中にはたくさんある。心のエネルギーをひとごとに振り向けて浪費するのは、本当にバカげている。
しかも、他人のことばかりに首を突っ込むクセは、巡り巡って自分の首を絞めることになる。
「架空の他人」を頭から追い払おう
人の悪口・ゴシップが好きな人間は、古い慣習とか世間体なんかにもとらわれがちだ。「これをやったら陰口をたたかれるかも……」「バカにされたらどうしよう……」――そんなふうに他人の目が気になって、身動きが取れなくなっていく。
それもこれも、元はと言えば、本当は暇なくせに忙しいフリをして、他人時間ばかりを過ごしているからだ。
「つまらないこと」で人生を埋め尽くしているから、他人のちょっとした振る舞いを見て、疑心暗鬼になったり、イチャモンをつけたくなったりする。
あなたは人のことばかりを考えて、心の空回りを止めようと必死になっているかもしれないが、おそらく相手はあなたのことを1ミリも気にかけていない。
そんなことにいつまでも心のエネルギーを浪費しているなんて、あまりにも虚しすぎる。今すぐやめたほうがいい。
「架空の他人」を頭から追い払い、無心になって没頭できることを見つけよう。
外部リンク東洋経済オンライン