by Found Animals Foundation

猫を飼っている人なら、猫が人の食べ物に興味を示したのを経験したことがある人も多いはず。しかし、猫には人間の食べ物や料理を味わうのに重要な要素である「甘味」の味覚がないということが分かりました。

Pseudogenization of a Sweet-Receptor Gene Accounts for Cats' Indifference toward Sugar

https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.0010003

Strange but True: Cats Cannot Taste Sweets - Scientific American

https://www.scientificamerican.com/article/strange-but-true-cats-cannot-taste-sweets/

人間の舌には味の受容器官である味蕾が存在しており、この味蕾を通して甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5種類の基本味や、これに「脂肪の味」を加えた第6の味覚を味わっています。甘味は人間のエネルギー源として重要な炭水化物が豊富に含まれていることを知覚するサインとなり、人間の場合は甘味を感知する細胞が甘い物に触れると脳に信号が送られます。なお、甘味を感じるプロセスに関与しているのはTAS1R2とTAS1R3という2つの遺伝子であることが明らかになっています。



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人間の舌には9000個の味蕾があるのに対して、猫の舌には味蕾が473個しかないことから、これまで猫はあまり味を感じない生き物だということが分かっていました。さらに、アメリカのモネル化学感覚研究所で味覚について研究しているジョゼフ・ブランド氏とXia Li氏が猫のDNAを解析したところ、猫、ライオン、トラ、チーターにはTAS1R2遺伝子を構成する塩基配列のうち247の塩基対が欠けていることが分かったとのことです。

このことから、ブランド氏は「猫は甘味をほとんど感じません。少数の猫は、TAS1R3遺伝子を使って高濃度の糖分を感知することができるかもしれませんが、ごく一握りでしょう」と話しています。猫以外では、鶏やナマズも甘味を感じないとのこと。しかし、哺乳類の中ではハイエナやマングースなど専ら肉だけを食べる生き物でさえ甘味を感じることが可能だとされており、猫は甘味を感じないほぼ唯一の哺乳類だそうです。



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また、ブランド氏は「一般的なキャットフードには20%ほどの炭水化物が含まれていますが、猫は糖を代謝するのに必要なグルコキナーゼという酵素を生成することができません。そのため、糖質を代謝するのが非常に苦手だと思われます」とも述べています。

DNAではなく、実際に糖質を含んだ餌を与えた際の血糖値の推移に着目した(PDFファイル)別の研究でも、「炭水化物は猫にとっても重要なエネルギー源と考えられるが、猫は炭水化物代謝の不得手な動物種なので、必要な炭水化物量を維持しながらもバランスの取れた食事の摂取が重要」だということが分かっています。