いや、うどんないんかい。

思わずそんな声が漏れてしまうお店が発見された。


sironekotoro(@sironekotoro)さんのツイートより

「創作うどんと寿司処」と書かれた看板は、横浜市にある料理店「かねせい 戸部駅前店」のもの。

これをみれば、当然うどんと寿司が食べられると思うだろう。

2019年11月7日、写真をツイートしたsironekotoroさんも、もちろんそう考えた。

「うどんが食べたい」

そう思って近づくと、入り口の前に小さな黒板がかかっている。

そこに書かれていたのは、衝撃的な言葉だった――。


気にしないで!!と言われても...(画像はsironekotoroさんのツイートより)

「注)上の看板は気にしないで!!」
「鮮魚とおばんざい かねせい」

つまり、うどんをウリにした店ではないらしい。sironekotoroさんは思わずこう叫んだ。

「上の看板を気にしてくれ!!!」

なぜこんなことになってしまったのか。Jタウンネット編集部は、店を取材した。

うどん、一応売ってた

取材に答えたのは、かねせいの店長。看板について尋ねると、「前の店の時に付けた看板をそのまま使っている」と教えてくれた。

かねせいは、19年5月にリニューアルオープン。店長が変わり、提供される料理も変わったという。

ただ、看板を変えるのにもお金がかかる。店の名前は変わっていないため、ひとまず前の看板を使い続けているとの話だ。

「ある程度やってればみんな(何の店か)分かってくるだろうっていうんでまだ変えてないんです。変えた方がいいのはわかっているんですけどね...」

と店長。今後、機会があれば看板を変えようと思っているそうだ。

ただ、看板には間違いなく「うどん」と書いてある。黒板に気づかずに入ってしまう人もいるかもしれない。

そんな人のために、実は「かねせい」ではメニューにうどんを残しているそうだ。そう、かねせいは上の看板を気にしていたのだ。

扱っているのは「天ぷらうどん」「アナゴ天うどん」「きのこのあんかけうどん」「アサリのバター焼きうどん」の4種類。結構あるな......という感じだが、店長は「あんまり売りたくないんです」と気が進まない様子。

その気の進まなさときたら、「売りたくないってことを記事にも書いてください」と言うほどだ。

ちなみに、sironekotoroさんにも話を聞いたところ、看板を発見した日は店には入らなかったらしい。なぜなら、黒板を見てうどんを食べられないと思ったからだ。

「結構前から『うどん』の看板は出ていた気もしますが、行ってみようと思ったのはあの時が初めてでした
うどんが食べたかったです」

うどんを食べられなかった悲しみがひしひしと伝わってくる。

実際は、入ってみていたら食べられた。しかし、その場合店長は複雑な気持ちになっていただろう。

1つの看板が、うどんを食べたい人のことも、うどんを売りたくない人のことも不幸にしていた。

店長が看板を変えられる日が一日も早く来ることを、願わずにはいられない。


多くの不幸を生む看板