弁護士・柳原桑子先生が堅実女子の悩みに答える連載です。今回の相談者は、重田佐代子さん(仮名・28歳・商社勤務)

「先日コンビニで、おにぎりとおでんのランチを買い、会社に持ち帰って食べるつもりだったのですが、ばったり会った先輩に誘われて、お店のイートンコーナーで食べてしまいました。

レジで再会計しようにも、コンビニは長蛇の列。

そのまま、なんとなく食べ終わって帰ってしまったのですが、それ以来、罪悪感が付きまとっており、寝込みそうです。

自分が話題のイートイン脱税をしてしまったのだと、後悔しています。これは金額ではなく、良心の問題だと思うのです。あの時に、先輩とはいえなぜ断れなかったのかと、ずっと自問自答をし続けています。

コンビニに相談し、本部にも連絡してみたのですが、後から納付する対応はしていないと言われました。差額は6円程度なのですが、募金をしてみても心が晴れません。

イートイン脱税には、法律的にどのような罰則があるのでしょうか。そして、2%分を納付したいのですが、その場合はどうすればいいのでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

2019年10月、消費税率が8%から10%に引き上げられました。

同時に食料品や新聞の定期購読なのは8%のまま税率を据え置くという、軽減税率が導入されました。外食はこの対応外ですので、店内で飲食する場合は10%、持ち帰りは8%となっています。

「イートイン脱税」というのは、レジで会計時に「持ち帰りです」と自己申告して、消費税率8%で購入しておきながら、実は店内で飲食する行為を指して言われています。

さて、この軽減税率が適用されるかどうかは、売買時の客からの申出により判断されています。

会計後に気が変わった場合に、清算し直すところまで制度として厳密には予定していないようです。

それに現在のところ、罰則規定もないようです。

実際の対応は店側に任されているともいえます。お店側に相談してみたとのことですが、制度が導入されて同様のケースが増えており、対応の仕組みが整っているかもしれません。再度、相談してみてはいかがでしょうか。

コンビニの中のイートインスペースや、ベンチだと消費税率10%の適応範囲内になってしまうので、近くの公園などに誘えばよかったと後悔しているそう。



■賢人のまとめ
どうしても気になるなら、お店側に相談してみてはいかがでしょうか。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/