寒い冬に欠かせないエアコンの暖房運転だが、気になるのは電気代だ。冬の電気代が夏より高くなる要因の一つは、エアコンの電気代だと言われている。しかし、運転させている時間が長そうな冷房運転よりも暖房運転の方が、なぜ電気代が高くなるのだろうか。三菱電機によると、室温と外気温の差が関係しているという。

 「家計調査年報(家計収支編) 2018年」(総務省統計局)によると、2018年における2人以上の世帯電気代は、平均価格が夏よりも冬の方が高くなっている。1〜3月の合計が4万1160円だが、7〜9月の合計が3万810円。3カ月で1万円近い差が付いている。

 その要因の一つとしてあげられているエアコンは、冷房運転の際、室内の空気から熱を奪って、室外機に運んで外に放出することで部屋を冷やしている。逆に暖房運転の時は、外の空気から熱を奪って、室内に運ぶことで部屋を暖めている。この方法は、熱を運ぶポンプのような役割を指して「ヒートポンプ」と呼ばれ、電気代が季節によって異なる理由でもある。

●室温と外気温の差が電気代の差



 冷房運転と暖房運転で電気代が異なる理由は、室温と外気温の温度差が大きいほどエアコンがエネルギーを必要とするからだ。例えば、夏の外気温が35度の場合、過ごしやすい26〜28度ほどまで下げても、室温と外気温の差は10度もない。しかし、冬の場合は、外気温が7度の場合、快適に過ごせる20度以上まで上げようとすると、室温との差は10度を大きく上回る。この結果、冬の方が多くのエネルギーを消費し、冷房運転よりも電気代がかかってしまう。

 電気代をなるべく抑える手としては、暖房運転の風向きを下にし、足元にエアコンの風が届くように調節することだ。左右のフラップを調節できるなら、部屋の中で多くの時間を過ごす場所に風を向けるとより効率よく過ごしやすい環境を作ることができる。ただ、エアコンの風を直接肌にあてると乾燥の原因になるので、注意が必要だ。

 さらに暖房運転の効果を高めるなら、ドアやカーテンを閉め、室内に冷気が侵入しないようにすると効果的だ。風量を保つために、フィルターを手入れしておくと安心だ。シーリングファンやサーキュレーターがある場合は、活用すると効率よく部屋を暖めることができるだろう。暖房運転の方が電気代がかかるのは仕方ないことなので、なるべく効率的に運用して、出費を抑えながら冬を乗り切りたい。(BCN・南雲 亮平)