テイラー・スウィフトは、レーベルの買収騒動によるマスター音源の再レコーディング問題で、アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)でヒット曲は披露できないと告白。「自分が作った曲をただ演奏したいだけなのに」とファンへ嘆いた。

テイラー・スウィフトは、米現地時間11月24日に開催される2019アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)でアーティスト・オブ・ザ・デケイド賞を受賞する。だが、スウィフトがその場で自身のヒット曲を披露できるかどうかは、いまだ不明だ。

米現地時間11月14日の夜、スウィフトはビッグマシン・レコードのスコット・ボルチェッタとスクーター・ブラウンから「昔の楽曲をテレビで披露してはいけない、って言われた。彼らいはく、それは来年になって許可が下りる前に私が自分の楽曲を再レコーディングしたことになるからなんだって」とTumblrに投稿した。

今年の初め、ブラウンはボルチェッタ有するビッグマシン・レコードを3億ドルで買収する、と発表した。それはスウィフトにかなりの衝撃を与えた。なぜなら、長年バトルを続けてきたカニエ・ウェストの仕事仲間でもある超大物マネージャーのブラウンの手に自分のマスター音源が落ちてしまうからだ。今年の夏、スウィフトは米CBSの朝の情報番組『This Morning』のインタビューで最初から6枚目までのアルバムを再レコーディングすると宣言。これによって自らのマスター音源を取り返すつもりだった。米ABCの朝の情報番組『グッド・モーニング・アメリカ』に出演した際、スウィフトは2020年11月以降にレコーディングを始められる、と詳しく語った。この頃には、どうやらビッグマシン・レコードとの契約が満了するもようだ。

それなのに--AMAでのパフォーマンスに限らず--何かの歯車が狂ってしまったようだ。スウィフトはさらに、自らの半生を描いたNetflixのドキュメンタリー企画が進んでいることをTumblrの投稿で明かした。そして、いまとなってはその企画も危機に瀕している。「スコット(・ボルチェッタ)とスクーター(・ブラウン)は、このプロジェクトで私が昔の楽曲やパフォーマンス映像を使用するのを許可しなかった。ドキュメンタリーでは、ふたりの名前もビッグマシン・レコードもひと言も出てこないのに」とスウィフトは書いている。

さらにスウィフトは、ある条件をのめば、昔のレコーディング音源を使用してもいい、とボルチェッタから言われていたことも明かした。その条件とは、「来年、私が自分の楽曲のコピーバージョンを再レコーディングしないって約束すること(私にはそうしていい法的な権利があるし、再レコーディングが楽しみ)」それだけでなく、「(ボルチェッタは)私がスクーターや彼について発言するのを止めさせるよう、私のチームに命令したの」

「私の身に起きていることをシェアすれば、こうした問題に対する認知度を高め、ほかのアーティストが私と同じような目に合うのを防げると強く信じてる」とスウィフトは綴った。「私に向けられたメッセージはとても明確。ざっくり言えば、黙ってお利口にしてろ、言うことを聞かなければ、痛い目に合わせるぞってことよね」

「こんなのどうかしてる」とスウィフトは続けた。「ふたりは作曲に一切関わっていない。私がファンのみんなとこうして絆を育めたのは、彼らのおかげなんかじゃない。だから、みんなに助けてほしいの」

過去の投稿でスウィフトは「スクーターは、全てを注いだ作品を自分の手で買い取る機会を私に与えず、私から作品を奪った。要するに、ミュージシャンとしての私のレガシーがそれを壊そうとした人の手に渡ろうとしているの」

投稿した文章の最後にスウィフトはAMAへの参加とNetflixドキュメンタリーの行く末がいまとなっては怪しくなってきたと明かした。そこでスウィフトは、自身の権利を取り戻すため、ファンに呼びかけている。「スコット・ボルチェッタとスクーター・ブラウンにみんなの気持ちを伝えてほしい」とスウィフトは綴る。「自分が作った曲をただ演奏したいだけなのに、その人を暴君みたいに支配しようとする人たちが少しは頭を冷やすよう、誰か言って聞かせてくれるといいのに」

ローリングストーン誌はスコット・ボルチェッタとスクーター・ブラウンにコメントを求めたが、両氏はまだ応じていない。