2019年11月19日(火)のサービス開始を目前に控えたGoogleのクラウドゲームサービス「STADIA」ですが、Stadiaでゲームを配信する開発者からは、ローンチ前からStadiaがすぐにサービスを廃止してしまうことへの懸念の声が挙がっています。

Kine creator: "The biggest concern with Stadia is that it might not exist" | GamesIndustry.biz

https://www.gamesindustry.biz/articles/2019-11-13-kine-developer-the-biggest-concern-with-stadia-is-that-it-might-not-exist

Stadia launch dev: Game makers are worried “Google is just going to cancel it” | Ars Technica

https://arstechnica.com/gaming/2019/11/stadia-launch-dev-the-biggest-concern-with-stadia-is-that-it-might-not-exist/

「大半の開発者がStadiaに抱いている最大の心配事は、GoogleがあっさりとStadiaのサービスを打ち切ってしまうのではないかということです」と打ち明けているのは、Stadiaのローンチタイトルの1つであるパズルゲーム「Kine」の開発者であるグウェン・フレイ氏です。フレイ氏はさらに「IT技術の仕事には大胆な失敗がつきものですが、とりわけGoogleは多くのプロジェクトを打ち切ってきました」と指摘し、Googleがこれまでリリースしては闇に葬ってきたプロジェクトにStadiaも続くのではないかとの懸念をあらわにしました。

Googleはこれまで数多くのプロジェクトを破棄しており、「Googleの終了したサービスを弔うお墓」まで作られています。

Googleの終了したサービスやプロジェクトを弔うGoogleサービスの墓場「The Google Cemetery」 - GIGAZINE



フレイ氏はTwitterでも「ほとんどのゲームの開発者は、ゲームのストリーミング配信に未来がないなどとは思っていませんが、Googleがストリーミング配信を打ち切ってしまう可能性はあると思っています」と述べています。



クラウドゲームサービスの先駆けとしては、2010年に本格的にサービスを開始したOnLiveがありますが、OnLiveが2015年にサービスを終了した際は、「OnLive経由でSteamからゲームを購入した」場合を除き、ユーザーが購入したゲームはプレイ不可になり、払い戻しもされませんでした。そのため、技術系ニュースサイトのArs Technicaは「ゲーム開発者が抱いているStadiaの継続性に対する懸念は、消費者にとっても対岸の火事ではありません」と指摘しています。

なお、GoogleでStadia事業を担当しているプロダクトディレクターのAndrey Doronichev氏は「Stadiaに関する取り組みはGoogleにとって、GmailやGoogle ドキュメントといったG Suiteや、映画や音楽の配信事業に匹敵するプロジェクトです。私たちはStadiaの成功を信じていますが、みなさんに私たちを信じてもらうために語るべき言葉はありません。ただ、無事にサービスを開始させ、何年にもわたり投資を続けるまでです」と発言しており、Googleの中でもかなり重要かつ野心的なプロジェクトと位置づけられていることがうかがえます。

Stadiaはローンチタイトル12作を含む26作が年内に配信開始されることが発表されていますが、折しも10月からパブリックベータテストが開始され、2020年中のサービス開始が予定されているMicrosoftのストリーミングサービス「xCloud」では、Stadiaを大きく上回る50作がプレイ可能だとされており、Stadiaはサービス開始後も激しい猛追を受けることが予想されています。



フレイ氏はゲーム情報専門サイトGamesIndustry.bizの取材に対し、「技術の世界ではデフォルトのステータスは『failure(失敗)』です。しかし、Stadiaは実にクールで、状況を一変させる可能性も秘めています」と答えて、不安と期待がないまぜになった心境を吐露しました。