映画『ジョーカー』のトッド・フィリップス監督がサンタバーバラ国際映画祭シネマ・ソサエティのQ&Aイベントに登壇し、同作にはR指定映画にすら相応しくないとしてカットしたシーンがあったことを明かした。

 『ジョーカー』は、社会から軽視されてきた貧しい大道芸人アーサー(ホアキン・フェニックス)が“犯罪界の道化王子”ジョーカーへと変貌していくさまを徹底してリアルに描いたドラマ。本国アメリカでは17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要な「R指定」で上映されており、その上のレーティングは17歳以下の鑑賞を全面的に禁じる「NC-17」となっている。

 削除シーンについて話が及ぶと、フィリップス監督は「即興で撮ったシーンが2〜3あった。そのうち一つはバスタブの中での素晴らしいシーンだったのだが、それはR指定映画には含めることができないと思った」とコメント。バスタブでのシーンということで露出が多かったのかと思いきや、フィリップス監督は「理由はポルノだったからじゃない、ただ狂っていたからなんだ」と続けている。一体どれだけ狂ったシーンだったんだ……。

 「狂いすぎた素晴らしいシーン」と表現されているだけに実際の映像を観たいと思う人は少なくないはずだが、削除シーンがDVDなどで公開される可能性は低そうだ。フィリップス監督はColliderのインタビューで、削除シーンを特典としてDVDに入れることや映画のエクステンデッドカットが嫌いだと明言し、「削除シーンはたくさんあるが、それらは理由があって削除された。この映画はまさに僕たちが望んだ通りのものなんだ」と劇場公開版こそ本作のあるべき形で、それ以上はないと語っていた。(編集部・市川遥)