堀江貴文さんが「愚痴」について思うこととは…(写真提供:朝日新聞出版)
日本初の民間ロケットの打ち上げに成功、和牛ビジネスのプロデュースなども手がける堀江貴文氏。さまざまなイベントや、ゴルフなどの趣味に国内外を飛び回る堀江氏は、スキマ時間に触るスマホで仕事の指示を送っている。
「いかに時間を使わずに多くのものを生み出し、効率よく世の中に伝えるか」を徹底する堀江氏の「時間術」とは? 堀江氏が何よりも大切にする「時間」だけをテーマにした初の著書『時間革命』から一部を抜粋・再構成して紹介します。
以前の僕は「ストレスがたまる」という感覚がよくわからなかった。
生きていれば、不愉快な人間には出くわすから、そのときそのときで不快感は抱くし、面と向かってその人を罵倒することもある。ただ、その場で発散してしまうので、ストレスが蓄積していくことはない。
もう関わるつもりがない人間はけっこういるが、ずっと恨んだり憎んだりしているわけではないので、悪い感情が腹の底にたまるわけでもない。すっきりしたものである。
ストレスの原因から距離を取る
僕が人生で初めてストレスがたまるということを実感したのは、刑務所に収監されてからの日々だ。このときは、ストレス発散の方法も限られていたし、自由を拘束されているわけだから、ストレスの原因から距離を取ることがそもそもできない。このときようやく僕は、「これが世の中の人がよく言う『ストレスがたまる』ってやつか……」と実感したのである。
しかしそれと同時に、やはりとても不思議に思えてきた。シャバにいる人たちは、いくらでもストレスの原因から逃げられるはずなのに、なぜいつまでも何も行動しないでじっとしているのだろう、と。
とくにみっともないのは、ストレスを感じているのに、不平を垂れ流しながら、現状に甘んじている人だ。
「会社の上司が無能すぎる!」とか「あの職場って本当にクソなんです!」とか「うちの夫はまったくダメで……!」などといつも怒っている人は、一度頭の中で思い浮かべてみるといい。
あなたは川に浮かびながら、誰かが食い荒らした「残飯」を手にして、「こんなマズい食べ物はない! なんだこれは!」と文句を言っている。だったら、そんなものは捨ててしまえばいいのに、それでもその「残飯」を後生大事に持っているのだ。
そんな人が「相談」などと称して僕のところにやってきて、「堀江さん、この『残飯』ってすごくマズいんですよ。ひどくないですか?」などと言ってくる。
力を抜いて水面に浮かんでいる僕には、そういう景色が見えているのだ。
「ふざけるな!! さっさと捨てろ!」
そんなふうに僕が怒鳴りたくなる気持ちを、少しはわかってもらえるだろうか。
牢獄に入っているのでもない限り、誰もあなたに「マズい残飯を食べろ!」なんて強制したりはしない。あなたが勝手にマズいものばかりを食べて、ストレスを抱え込んでいるだけなのだ。
ストレスを生む時間は、極力減らすことが大切
だから、ストレスを生む時間は、極力減らすべきだ。そのときは「絶対時間」ではなく「体感時間」の長さを基準にするといい。
つまらないオッサンと会食をしても、時間はなかなか進まないが、かわいい女の子とするデートは一瞬で過ぎ去ってしまう。
長く感じる時間は、あなたにとってストレスの原因になると思ったほうがいいだろう。体感時間の長いものを人生から排除し、あっという間に過ぎてしまうことばかりで、あなたのスケジュールを埋めよう。
もう1つは、ストレスを与えてくる人間を徹底的に避けることだ。不快な人間がいたら、その人とは関係を絶ったほうがいい。その場で怒鳴りつけてもいいが、わざわざ軌道修正してやる義理はないから、あとはスッパリ“切る”のがいちばんだ。
嫌いな人間について、ダラダラと愚痴を言うのはやめよう。それが「腐った残飯」だと気づいているのに、いつまでそんなものを大事に持っているつもりなんだ?
いますぐ投げ捨てればいいだけのことだ。
外部リンク東洋経済オンライン