米国務省の高官は28日、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者が米軍の急襲作戦によりシリアで死亡したことを受け、米政府は有志国連合によるIS掃討作戦の強化を望んでいると表明した。

高官は、トランプ大統領は今月6日にシリア北部からの米軍撤収を発表したが、IS掃討の任務を放棄するという意味はなかったとした。「これは重要な取り組みで、継続している」と語った。

IS掃討作戦に関し、関係国の外相はワシントンで11月14日に会合を開く。

米国務省は「シリアとイラクでISが勢力を盛り返すのを阻止する決意で、有志国連合とともにISの残党を壊滅させ、ISの世界での野心を打ち砕く」との声明を出した。ワシントンでの会合ではシリア北東部の最近の情勢が主に話し合われるとした。

急襲映像を一部公開も

トランプ米大統領は同日、バグダディ容疑者の死亡につながった急襲作戦の映像について、一部公開する可能性を示唆した。空中からの映像や兵士らに取り付けたカメラの撮影内容が含まれるもよう。

トランプ氏は記者団に対し「(映像公開については)検討中だ。一部映像を公開するかもしれない」と語った。ある米当局者は、米軍の戦術などが判明しないよう、映像を修正する必要があるとした。

一方、バグダディ容疑者が海に水葬されたことが、3人の米政府当局者らの話で明らかになった。イスラム教の慣習にのっとった葬儀が行われたという。

当局者らは葬儀の場所やどれだけの時間を要したかなどの詳細は伏せた。このうち2人は、遺体は航空機から海に運ばれたようだと述べた。

米軍のミリー統合参謀本部議長は米国防総省で28日に行われた記者会見で、米軍はバグダディ容疑者の遺体を標準的な手順や武力紛争の法律に従って「適切に」処置したと語った。

ただ、バグダディ容疑者が自爆して死亡したことなどを踏まえると、今回の葬送の手順は、2011年に米海軍特殊部隊シールズに射殺された国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者が海に水葬された時ほど完全なものではないとみられる。ビンラディン容疑者の遺体は葬儀のために原子力空母「カール・ビンソン」に運ばれ、洗浄され白い布に包まれ、アラビア語に通訳された宗教的な言葉が唱えられた上で海に流された。

トランプ氏は27日、テレビ演説でバグダディ容疑者の死亡を発表。急襲を受けトンネルに逃げ込んだ容疑者を「(米軍の)軍用犬がトンネルの行き止まりに追い詰め、そこで彼がベストを爆破させ、3人の子供とともに死亡した」と述べた。その後現場でDNA検査を行い、本人と確認されたという。

バグダディ容疑者についてトランプ氏は「下劣で狂った人間だった。でもこの世にはもういない。哀れに泣き叫んで死んでいった」と述べた。

ロイター