クルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」は27日、トルコとの国境から30キロ以上シリア側に離れた地点まで撤退することに合意したと明らかにした。シリアのアサド政権はこれを歓迎し、トルコはシリア北東部での「攻撃」を停止すべきだと訴えた。
トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は22日に会談し、29日までの6日間にシリアの国境警備隊とロシア軍警察がシリア北東部のクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」をトルコ国境から30キロ、シリア側に離れた地点まで退去させることで合意していた。
トルコは今月9日、トランプ米大統領がシリア北部からの米軍撤収を発表したことを受け、同地域のYPGを標的とする軍事作戦を開始していた。トルコ政府はSDFの最大構成要素であるYPGをテロ組織と見なすが、米軍は過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦でSDFと協力している。
SDFは声明で、トルコとロシアの「合意内容に沿って、シリア北東部のトルコとの国境から離れた場所で再配置を行っている。流血を停止し、シリア北東部の居住者をトルコの攻撃から守るためだ」と説明した。
その上で、ロシアに対し、シリア北東部のクルド人勢力とアサド政権との「建設的な対話」への協力を呼び掛けた。ロシアはアサド政権の最大の後ろ盾となっている。
国営シリア・アラブ通信(SANA)はシリア外務省筋の話として、「トルコが(シリア)領内での凶悪な攻撃の大きな前提」を失うことになるとして、SDFの撤退をシリア政府は歓迎すると伝えた。
シリア政府は市民が再び統合され、「シリアの国家再結束」に道を開くのを後押しする方針だと報じた。
トルコとロシアの首脳合意によると、両国の軍は29日から、シリアのトルコ国境から10キロ圏内の地域を共同で警備する見通し。
ロイター
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