クラブ史上初めてのファイナルに挑んだ札幌。追いつけ追い越せの前後半、そして延長戦を最後まであきらめずに戦い抜いたが、PK戦の末に敗れ、ルヴァンカップの歴史に優勝クラブとして名を残すことは叶わなかった。

 ミシャことペトロヴィッチ監督は試合後の会見で、「川崎、そして札幌にとって非常に素晴らしいゲームが出来た」と両チームを称えた。

「見ていた方も非常に興味深いゲームだったんじゃないかと思います。120分の戦いのなかで、もちろん川崎が良い時間帯もありましたし、我々札幌が良い時間帯もありました。お互いが五分に渡り合う、非常に拮抗したゲームだった。私も日本は長いですけれど、やはりこのルヴァン杯決勝、過去の試合を振り返ってみても、やはりベストな決勝のひとつに数えられる試合だったと思っています」

 全体的にみれば川崎にボールを保持されている時間帯は多かった。それでも、相手の決定機にはしっかりと身体を投げ出して守り、全員が一体となって戦った。惜しくもPK戦で敗れてしまったが、準優勝の理由は川崎との「経験値の差」と指揮官は話す。

「川崎は5年、6年のあいだ常に優勝を争っているチームで、彼らの経験は我々にないものがある。我々のチームは初めてファイナルを戦いましたけど、選手たちはこの経験をもって、さらに自分たちの未来に繋げてくれると私は信じています。来年、我々がカップ戦ファイナルを戦うことがあれば、今日の経験は彼らのなかで活きてくるはずです」
 
 また、決勝ではVARが運用されたが、不可解な判定が下されるなど、多少判定に疑問が残る試合となった。ペトロヴィッチ監督は、「日本で判定に関して話をするのはタブーだというのはよく分かっている」と前置きをしながらも、1失点目と2失点目には、モノ申したいことがあると語る。

「今日はVARが入っていた試合なので、そういったところのコミュニケーションはありながらの判定だったとは思います。ただ、私は最初の1点目、2点目に関しては疑問の残る判定だったかなと私自身は感じています」

 さらに続けて、「2点目の失点はハンドかハンドじゃないかっていう、そういった際どいシーンだったとは思う。例えば、そういうなかで我々のチームが負けて、それで私が解任されたとしましょう。もしかしたら、その誤った判定で私は仕事を失うかもしれない。サッカーはそういうものだと思います。何が言いたいかと言うとサッカーは非常に厳しい職業だということです」

 監督生命を左右する重要な一戦での誤審は出来る限りなくしてほしいと語るミシャは、最後に「今日敗れはしましたけれども、今のところ野々村社長からは解任の話は出ていないですけど…まぁ明日どうなるかは分かりませんけどね(笑)」と最後にジョークで会見場を沸かせて、去って行った。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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