「今季のアジア・チャンピオンズリーグは怪我人が続出したり、日程がハードだったりで、苦難の連続だった。準決勝まで勝ち進んだ彼らを誇りに思うし、今日も堂々たる戦いぶりだった」

 元イタリア代表、ファビオ・カンナバーロ監督の言葉だ。水曜日に行なわれたACL準決勝で、広州恒大は浦和レッズに2戦合計0−3で敗北。4年ぶりのファイナル進出は果たせなかった。

 だが、ショッキングな2戦連続の完封負けを目の当たりにし、中国メディアは穏やかではない。厳しい質問を容赦なく浴びせ、指揮官が答に窮する場面もあった。そして報道陣から「日本と中国のサッカーにはどれほどの差があると考えているのか?」と問われると、カンナバーロ監督は「大きな差があると思う。今日も浦和の選手たちと我々との間には、集中力と安定感に違いがあった」と本音を明かした。

 このやりとりを受けて、独自の見解を示したのが全国スポーツ紙『新浪体育』だ。

「日本サッカーと中国サッカーの差は顕著である。ACLでは何年か前までは中国が優位に立っていたが、あっという間に劣勢を強いられるに至った。日本が我々よりもテクニックの面で秀でているのは言うまでもなく、コンビネーションプレーの質も明らかに高い。その点において、中国クラブは大きく水を開けられている。

 そしてなにより見落としてはいけないのは、中国人選手がアドバンテージを握っていたフィジカルコンタクトの側面でも、いまや日本が上回っている事実だ。日中両国の上位チーム同士がぶつかれば、ゲームは拮抗した展開になるだろう。だが勝敗を分けるのはそうしたディテールの差であり、我々が勝てなくなっている要因はまさにそこにある」

 さらに同紙は日本がサッカー界全体で、ユース年代の育成に資金と人材を注力している点を強調。「中国も育成には力を入れている。莫大なカネを投じて設備とシステムを構築したが、肝心の指導者がまるで育っていない」と評し、「ここにこそ海外から人材を招聘すべきなのだが、スーパーリーグのクラブは重要視していない」と断じている。

 
 今季のACLにおいて、中国勢は浦和を相手に3分け3敗の勝ち星なしに終わった。グループステージで北京国安が1分け1敗、準々決勝で上海上港が2分け、そして今回の準決勝で広州恒大が2敗。『新浪体育』紙は「彼ら3チームは中国スーパーリーグを代表するビッグ3。中国サッカーの恥だ」と吐き捨てた。

 ちなみに日本勢全4チームとの総合成績でも、2勝7分け5敗と負け越している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部