新たに発表されたiPhone3機種についてレポートする(筆者撮影)

iPhone 11、11 Pro、11 Pro Maxが発売され、既存の端末もiOS 13にアップデートされた。iPhone 11シリーズは、超広角カメラに対応したのが目玉で、暗い場所でも明るく撮れる「ナイトモード」などに対応している。一方で、画面を押した圧力を検知する「3D Touch」に対応していないなど、総合的に搭載する機能を見直した結果、削除されたものもある。操作性が変わってくるため、慣れが必要になるとともに、設定の見直しも必要になりそうだ。


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iOS 13はユーザーインターフェースのデザインにも大幅な見直しがされており、ソフトウェア由来の新機能は多い。ダークモードの搭載や、写真、ファイルといった既存のアプリも、中身を一新しているのが特徴だ。こうした“派手”な機能はすぐに気づけるものも多いが、iOS 13の改善は細かなところにまで及ぶ。こうした機能を知っていれば、iPhoneをもっと便利に使いこなせるはずだ。そこで今回は、新iPhone、新iOSにまつわる裏技を紹介していきたい。

1. 3D Touchより使いやすい「触覚タッチ」を活用する

iPhone 11シリーズで、ひっそりと姿を消してしまった機能がある。それが、圧力を検知する「3D Touch」だ。3D TouchはiPhone 6s、6s Plus以降のiPhoneに原則として搭載されてきたが、昨年発売されたiPhone XRで非対応に。iPhone 11シリーズでは、3機種すべてから3D Touchがなくなってしまった。代わりに搭載されたのが、振動で画面を押し込んでいる風の感触を再現する「触覚タッチ」だ。

あくまで押し込んでいるような感覚になるだけで、原理的にはロングタップと同じ。画面を押し込む操作とロングタップは、ユーザー側が意識的に区別するのがやや難しかったため、慣れてしまえば、触覚タッチのほうが直感的に操作できる。賛否両論あるものの、筆者にとっては、3D Touchより触覚タッチのほうが使いやすいと感じている。

新モデルが3機種とも3D Touchに非対応になったことで、それに近い機能がOS側に実装された。iOS 13では、3D Touchに対応していない機種の場合、アイコンを長押しすると、ショートカットメニューが表示される。例えば、「設定」のアイコンを長押しすると、本体がトンと震えて、「バッテリー」や「モバイルデータ通信」「Wi-Fi」「Bluetooth」といった項目を直接表示させることが可能だ。通知も触覚タッチに対応しており、長押しすると中身を見ることができる。

アプリに関しては対応の有無が分かれるが、メールの本文を表示させたり、Safariのリンク先をあらかじめ確認できたりといった機能は、そのまま触覚タッチに移植されている。当初は触覚タッチに非対応だったLINEも、アップデートでこれに対応。「既読」マークをつけずに、中身を読むことが可能になった。長押ししていればいいだけなので、3D Touchのときより、誤って中を開き、既読をつけてしまう失敗も減るはずだ。


触覚タッチの操作がうまくいかないときは、タイミングを「遅い」に変更しておくといい(筆者撮影)

とはいえ、初期設定のままだとすぐに長押しと判定され、メニューが開いてしまうことがある。タッチしようと思って一瞬ためらうと、触覚タッチになってしまうといった具合だ。触覚タッチをより意識的に使いたいときは、設定で発動するタイミングを遅くしておくといい。設定の変更は、「設定」アプリで「アクセシビリティ」を開き、「タッチ」の中にある「触覚タッチ」で行う。この項目を「遅い」にしておくと、少しだけ、触覚タッチと判定される時間が遅くなる。

「遅い」にしておくと、アプリの並べ替えもスムーズになる。「早い」ままだと、すぐにメニューが出てしまい、そこから「Appを並べ替える」を選択するか、アイコンを移動させてメニューを消す必要がある。これに対し、「遅い」にしておくと、本体がブルっと震えたあと、ワンテンポ遅れてメニューが表示されるようになるため、震えた瞬間にアイコンを移動させれば、メニューが表示されにくくなる。どちらの使い勝手がいいか人によるところもあるが、アプリの並べ替えをスムーズにしたいときは、こちらに設定しておくといいだろう。

2.「フルスクリーン」で撮れるスクショが便利

元々は操作説明などの記事を書くときに使われていたスクリーンショット機能だが、今や当たり前のように、メモ代わりに使われている。長い文章を書いたメモ帳などのスクリーンショットを投稿し、SNSの文字数制限を回避するといった裏技も当たり前のように利用されている。ただ、縦に長いサイトの全体を相手に見せたいようなときには、スクロールさせるごとに1回1回スクリーンショットを取る必要があり、少々面倒だった。

かく言う筆者も、本連載の校正はウェブで行っているため、修正点が何カ所かある場合、そのぶんだけスクリーンショットを取って赤字を入れる必要があった。iOS 13では、この問題が解決され、画面内に表示されている一部のスクリーンショットを取るか、全体のスクリーンショットを取るかを選択できるようになった。対応しているのはSafariなど、一部のアプリのみだが、利便性が大きく上っているため、ぜひ利用したい。

利用方法は簡単だ。まずは通常どおり、スクリーンショットを取得する。ホームボタンのないiPhone X以降のiPhoneの場合、音量ボタンの上とサイドキーを同時にクリック。取得できたスクリーンショットのサムネールが画面左下に表示される。数秒すると、このサムネールは消えてしまうため、その前にここをタップしよう。対応しているアプリの場合、スクリーンショットの編集画面上部に、「スクリーン」と「フルページ」というボタンが現れるはずだ。

細やかな操作ながら手順は簡単

前者のスクリーンは、表示されている部分だけをスクリーンショットにするという意味合い。これまでのスクリーンショットと同じで、通常はここをタップすればよい。スクリーンショット取得後、サムネールが自動で消えたときも、スクリーンと同じ扱いになる。ページ全体をスクリーンショットとして保存したいときは、ここで「フルページ」をタップしよう。


iOS 13から、ページ全体のスクリーンショットを取れる「フルページ」に対応した(筆者撮影)

すると、画面右にサムネールが表示される。手書きなどを加えたいときは、サムネールをドラッグして位置を移動させ、編集を加えるとよい。最後に、画面左上にある「完了」ボタンをタップすると、スクリーンショットを保存するか、削除するかの選択肢が現れる。ただし、通常のスクリーンショットとは異なり、フルページのスクリーンショットは、PDFとしてしか保存できない。保存を選ぶと、保存先を尋ねられるため、適当なフォルダを指定しておこう。

ニュースサイトなどを保存しておくときに便利な機能だが、実はSafari以外でも利用は可能だ。例えばアップル純正のマップの場合、「フルページ」を選ぶとメニューなどの表示が消え、地図そのものをスクリーンショットとして保存することが可能だ。メモアプリでも同様に、ツールのアイコンなどを消したスクリーンショットを取ることができる。友人に地図を送るときや、SNSにメモを投稿するときなど、用途に合わせてフルページを選択するといいだろう。

iPhone 11シリーズは、3機種とも、35mm判換算で13mm相当の超広角カメラを搭載している。通常のカメラ(アップルは広角カメラと呼ぶ)のちょうど2分の1の焦点距離で、風景をワイドなアングルで捉えた迫力ある写真を撮ることが可能だ。パンフォーカスのため、ピントが前景だけに合って背景がボケてしまうこともなく、全体をきっちり写真に収めておきたいときにも重宝する。

3. 広角カメラは補正に使えるよう設定する

13mmの超広角カメラは、単に超広角な写真を撮るためだけにあるのではない。実は通常カメラで撮ったとき、同時に超広角カメラでも同じ被写体を撮影しておくことができる。超広角カメラで撮った写真の用途は、写真の補正だ。例えば傾きを直したい場合、通常だと画像の一部をカットしなければならないが、iPhone 11シリーズでは、通常カメラより画角が広い超広角カメラの写真を使って、足りない部分を補ってくれる。カメラに写っていなかった部分まで表示させたいという場合にも、超広角カメラ側で撮っておいた写真を活用できる。


iPhone 11シリーズでは、超広角カメラで保存しておいたデータを使って、後から編集に利用できる(筆者撮影)

ただし、標準の設定では、この機能がオフになっている。おそらく保存される写真のデータサイズを小さくするためだと思われるが、後から編集したいときに便利な機能なため、iPhoneの本体容量に余裕があれば、オンにしておきたいところだ。また、超広角側で撮った写真は、編集に使用しないと30日後に自動で削除される。無駄に容量を圧迫する心配はないというわけだ。

設定は、「設定」アプリの「カメラ」で行う。「構図」の欄にある「写真のフレームの外側を含めて撮影」をオンにすると、この機能が有効になる。あとは、写真を撮るだけでよい。被写体に近寄っている場合など、構図によっては有効にならないときもあるが、風景写真のようなときには、超広角側の写真も自動的に保存される。

超広角側のデータが保存されている写真は、「写真」アプリで開くと、右上に「★」マークが表示される。あとは「編集」ボタンをタップし、傾きを直したり、画角を変えたりすればよい。残念ながら、この機能は超広角カメラを搭載したiPhone 11シリーズでしか利用できないが、新機種ならではの便利な機能として覚えておきたい。